DX推進のためにも、プライバシー対応は必須
この「個人情報を保護しつつ」という課題は、アドテック領域でも同じだ。欧州のGDPRが先行し、日本でも2022年4月から「改正個人情報保護法」が施行される。このような流れの中で、周知の通り、Googleも「サードパーティCookie廃止に関するタイムラインの変更について」というブログ記事を発表し、2022年から動き出す。
Googleのブログでは、2022年から技術的な対応を開始して「2023年半ばから2023年後半までの3ヵ月間でサードパーティCookieを段階的に廃止します」と明記した。
個人情報保護法の改正だけではなくて、「総務省はターゲティング広告など利用者のデータ提供に関するルール整備に乗り出す。ネットの閲覧履歴のデータが第三者に提供される状況を利用者が止める仕組みをサイト運営者に義務付ける。閲覧データを分析する業者や広告配信業者は現在の仕組みでの展開は難しくなり、ネット広告のビジネスモデルの転換につながる可能性がある」(参照:「ネット履歴の外部提供に「拒否権」 利用者保護へ総務省」)。
個人データを扱うのは、広告領域だけではない。2022年から社会全体として、DX推進のためには、プライバシーテックが必須になる(参考:「プライバシーテック、5つのコア領域とは DXに導入必須」)。
5G/IoT端末により多様な個人データが取得可能に。ただし同意がなければ“負の資産”となる
そして、IDC Japanによれば、「産業向け5Gの実導入は2022年から、ユーザー企業の理解も進む」らしく、「2020年12月の調査ではパブリック5Gやローカル5Gへの理解が進んでおり、現時点では2022年から産業向け5Gの実導入が始まるという共通認識が生まれつつある」とのこと。
2022年から産業向け5Gが実導入されると、IoT端末が普及し、社会のスマート化が軌道に乗る。スマートカーやMaaS、スマート家電、スマートハウス、スマートコミュニティなど、次世代の社会が待っている。
近い将来は、5GとIoT端末によって、多種多様な個人データが「技術的には」取得可能になり、フィンテックで中央銀行デジタル通貨(つまり、法定通貨なので政府主導)のウォレットアプリがスマホで使える可能性がある。「技術的には」すべての小売決済がデジタル化されるかもしれない。もはや、給与もスマホアプリに振り込まれ、税金もスマホで支払い完了する。
当然ながら、プライバシーに配慮しないとならない。本人の知らないところで「技術的に」勝手に個人データを取得して広告配信に活用し、秘密裏に商売をするのはご法度になる。
だから、CMPなど同意管理プラットフォーム、プライバシーテックが必須になる。同意取得済みの個人データであれば、その利用規約の範囲内に限り、自由に使ってよい。が、同意がなければ、漏洩リスクと背中合わせで、負の資産にしかならない。明確な利用目的とセットで同意取得していない場合、その個人データを持つ意味とリスクについて、企業は真剣に考える必要がある。