※本記事は、2021年12月25日刊行の定期誌『MarkeZine』72号に掲載したものです。
約100人で構成する社内横断組織
――野村證券が社内カンパニーとして「未来共創カンパニー」を立ち上げられ、2年半が経ちました。まず、この組織の目的と業務についてうかがえますか?
池田:未来共創カンパニーは、営業部門、インベスト・マネジメント部門、ホールセール部門などの各部門やグループ会社などを横断するバーチャルな組織として立ち上がりました。新領域のビジネス開発やマーケティングなどを、部門間で連携し、柔軟かつスピード感を持って、お客様と価値を共創していくことを目指しています。
そうした動きを強め、イノベーションを起こしていくには、デジタル活用は必須だと言えます。同時に、新しい価値を生み出そうとすると、自ずと複数部門をまたがる活動にもなってきます。そんな各種サービスのデジタル化を柔軟かつ軽やかに推進していくために立ち上げたのが、この部門横断の組織でした。当時、既に各部門でデジタルを活かした取り組みが進んでいたので、部門間の連携によって、それらが効率よく進むように後押しする意図もありました。
池田:カンパニーでの具体的な取り組みとして、たとえば投資判断に役立つ情報をタイムリーに提供する、投資情報アプリ「FINTOS!(フィントス)」や、資産管理アプリ「OneStock(ワンストック)」などのデジタルサービスを開発・提供しています。
活動を進める中で、2つの重要なポイントが見えてきました。ひとつは、人材です。前述のようなデジタルサービスを開発できる、デジタル関連のバックグラウンドを持った人材は、当社にはまだまだ不足しているので、そうした知見のある人材を外部から積極的に採用しています。
もうひとつは、我々グループには長年培ってきた「対面接客の強み」がある一方、お客様にはデジタルで完結するサービスも重要になっているということです。ですので、オンラインとオフラインを連携して対面の接客を活かすサービスを提供していく一方で、デジタルで完結するサービスの開発もスピードを上げる必要があります。そのアウトプットの一例が、先ほど紹介したアプリで、今後もお客様のジャーニーを意識したデジタルサービスを開発していきます。
――どのような体制になっているのでしょうか?
池田:金融業界や当社の実情に詳しいプロパー社員が30~40人、デジタルの知見を有する外部から採用した社員が30~40人。そして今回同席いただいている高広さんのように、アドバイザーとして関わっていただいている方が30人ほどで、計100人規模です。特に外部からのメンバーは、金融サービスが初めての人もいれば、ネット専業の金融機関の経験がある人もいて、幅広いバックグラウンドを持ったメンバーに関わっていただいています。