SHOEISHA iD

※旧SEメンバーシップ会員の方は、同じ登録情報(メールアドレス&パスワード)でログインいただけます

MarkeZine Day(マーケジンデイ)は、マーケティング専門メディア「MarkeZine」が主催するイベントです。 「マーケティングの今を網羅する」をコンセプトに、拡張・複雑化している広告・マーケティング領域の最新情報を効率的にキャッチできる場所として企画・運営しています。

直近開催のイベントはこちら!

MarkeZine Day 2025 Retail

特集:マーケターの「これから」を話そう

データは個人のもの。その規制が広告業界の労働者にまで及ぶとき

データ規制の影響は、マーケターの進退にも変化を起こす

 2022年4月に改正個人情報保護法が施行される。日本でも欧州のGDPRの思想が徐々に普及するはずだ。「個人データは個人のものである」という考え方がその基本にある。

 2021年9月8日付で『World Economic Forum』のサイトに次のタイトルの記事が掲載された。

 「Most workers are poorly protected with respect to data access and portability under current regulatory regimes」。意訳すると、「雇用する側が多くの情報を持ち過ぎだ。労働者(従業員)はデータ権を主張しなければならない」といった意味合いである。

 この記事は、データ・ポータビリティを、労働者にも適用すべきだと主張している。たとえば、「Employers hold too much power over information. Workers must claim their data rights」(ほとんどの労働者が、データへのアクセスやポータビリティなど、現状の規制では、十分に保護されていない)など。

 つまり、労働者のデータ(入社時の履歴書やその後の評価・査定など)は、会社ではなくて個人のもの。それにアクセスしたり持ち出したりする権利が労働者にはある。

 この記事の背景には、Uberなどのタクシードライバーを顧客が評価する仕組みがある。評価データはドライバーのものであり、転職する場合は、きちんとそれを引き継ぐべきだ、と。

 広告業界でいえば、博報堂から電通に転職する場合に、博報堂での評価や査定、あるいは、どのくらいマーケティングROIやコンバージョン率をアップしたかなどのデータを、その転職する個人が電通に引き継ぐことで、電通側でもその実績に応じて、適切に給与を支払うということだ。

 人事系データは個人のものであって、会社の占有物ではない。これは、個人の権利である、と。

 個人データは個人のものであるという思想が普及し、その規制が広告業界の労働者にまで及ぶとき、マーケティングROIやコンバージョン率を改善できる個人は、高い報酬でヘッドハンティングされるだろう。あるいは、多くの独立するチャンスに恵まれるのではないか。その結果、日本のCPMも高くなっていくはずだ。

この記事は参考になりましたか?

  • Facebook
  • X
  • note
関連リンク
特集:マーケターの「これから」を話そう連載記事一覧

もっと読む

この記事の著者

有園 雄一(アリゾノ ユウイチ)

Regional Vice President, Microsoft Advertising Japan

早稲田大学政治経済学部卒。1995年、学部生時代に執筆した「貨幣の複数性」(卒業論文)が「現代思想」(青土社 1995年9月 貨幣とナショナリズム<特集>)で出版される。2004年、日本初のマス連動施策を考案。オーバーチュア株式会...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

この記事は参考になりましたか?

この記事をシェア

MarkeZine(マーケジン)
2021/12/24 07:15 https://markezine.jp/article/detail/38012

Special Contents

PR

Job Board

PR

おすすめ

イベント

新規会員登録無料のご案内

  • ・全ての過去記事が閲覧できます
  • ・会員限定メルマガを受信できます

メールバックナンバー

アクセスランキング

アクセスランキング