秀逸なネーミングで一躍大ヒット
もう1つ、6位にランクインしている曽我農園を紹介させてください。新潟のフルーツトマト専門の農家なのですが、「闇落ちトマト」というネーミングの妙で大ヒット商品を作りました。新商品を開発した、ということではなく、元々存在していた「尻腐れ」と呼ばれる見た目の悪いトマトの名前を「闇落ちトマト」という名前に変えただけです(尻腐れトマトは見た目が悪いだけで実は一番甘いのだそうです)。
実は一番甘い「尻腐れ」というトマトは見た目がこんなですのでほとんど捨てられてきましたが「闇落ち」という名前にしたら人気商品になりました。直売所で絶賛発売中。 pic.twitter.com/eEGiWzKPWl
— フルーツトマトの曽我農園 (@pasmal0220) May 22, 2021
これまで見た目が悪いだけで消費者の選択肢に入る前に捨てられてきましたが、実は一番甘いのであれば、立て付け(名前)を変え、意味(ストーリー)を加えてあげれば、消費者は購入してくれるということを立証しています。これも「消費者が求める自社の資産は何か?」を正確に見直せば発見できるチャンスなのかもしれません。いずれにせよ、曽我農園のネーミングセンスとストーリーテリングはお見事でした。
SNSアカウント運用の重要度が大きく進化する
スマホとSNSが当たり前になり、1日に接触する情報量は日に日に増しています。各社から発信される情報は、生活者にとって毎日水のように流れ続けており、スルーされる確率もそれだけ高くなっています。
企業にとっては、少ない予算と時間でどれだけ多くのエンゲージメントとリーチを獲得できるかが重要な時代になっています。つまり、打率・燃費効率の高い「情報の運用力」が問われる時代なのです。
そのためには「消費者が求める自社の資産は何か?」を理解しておく必要があります。ですが、多くの企業が自社の資産の価値を理解しきれていないケースが多いのが実情です。消費者に聞いても、普段から意識しているわけではないため正確な答えは返ってきません。
では、どうすれば理解できるのか? 消費者の行動を「観察する」ことが重要です。今は店頭だけでなくSNS上でも「観察する」ことができます。世の中のトレンドに乗っかっているだけでは自社ファンの活性化にはつながりません。店頭やSNS上で自社商品に関連する消費者の行動を細かく観察してみましょう。
「自社の資産のどこを活用すると消費者に喜んでもらえるのか?」このツボを把握できると「SNSアカウントの運用」=「ファンとの交流の場としての運営」を効率良く活性化できるようになります。活性化されたファンは情報流通を支援し、購買にも寄与する存在になってくれます。
スポット的なバズ型施策ではなく、プロセス共有型の施策のほうがエンゲージメントのうねりが高くなる昨今において、これは極めて重要な土台になるのではないでしょうか。
2022年は、InstagramやTikTokなどでSNSのモール化がさらに加速し、SNSと購買の距離がより密接になっていきます。SNSアカウント運用のマーケティングにおける重要度が大きく進化していくでしょう。2022年は企業と生活者のSNSを介したコミュニケーションがさらに活性化され、多様な施策と前向きな消費が増えていくことを期待しています。