強みはシングルソースでつながったデータベース
――市場では運用型テレビCMが盛り上がりを見せていて、関連サービスも増えていますが、御社のサービスとしての特徴や強みはどこにあるとお考えですか。
橋本:最大の強みは、T会員の購買データとテレビ視聴データがシングルソースデータでつながるデータベースを保持していることですね。
他社の場合はデータベースを持っていない分、推計や類推でプランニングや検証をしますが、当社はファクトデータベースなので精度が高い。
それだけでなく、データがつながっていないとその間を類推するために、多変量解析や重回帰分析、またはAIが登場したりするのですが、シングルソースデータだと掛けたり割ったりといった四則演算でプランニングも検証も提供できるので、サービスの利用者・閲覧者が理解しやすいつくりになっているのも特徴ですね。
――どのような企業がサービスを利用して「循環型マーケティング」に取り組まれているでしょうか。
橋本:やはり引き合いが多いのは、商品棚に商材をお持ちのメーカー企業ですね。
特に「テレビCMは高くて手が届かない」「自分たちのメディアじゃない」と思っていたような中堅メーカーからお問い合わせをいただきます。
意外かもしれませんが、BtoB向けサービスを販売する企業の利用も少なくないです。変わり種でいうと、グループであるTSUTAYA/蔦屋書店の購入履歴を使って、「ビジネス書籍をよく購入している人」に向けてテレビCMなどの施策を打つケースなんかもあります。
買う本から出てくる嗜好性はリアルなので、そのデータに興味ある方は多いです。
マーケティングをもっとシンプルに
――実際に利用されている企業からはどんな評価の声が聞こえていますか。
橋本:プランニング・バイイング・効果検証、その結果を次に生かせる循環型のテレビCMマーケティングを実践することで、コストパフォーマンスが上がったというお声はいただきます。今までのバイイングよりリーチコストは俄然よくなっているとのことです。
あとは、今までメディアによってマーケティングのターゲットを規制されていて、たとえば「20代のスイーツ好き」などブランドが設定していたターゲットから、各メディアが設定しているセグメントである「F2層」などへ翻訳する手間が生じていたのですが、それを広告主がいつも自分たちが使っている言語に戻してあげて、テレビもネットも買い付けができる状態にできている点を広告主・代理店からともに評価いただいているようです。
――最後に今回のサービスに関する今後の展望と、読者へのメッセージをお願いします。
橋本:テレビCMに限らず、昔は基本的に出したら投げっぱなしがいわゆる広告でしたが、現在は広告を含めたマーケティングビジネス全体がPDCAサイクルをなるべく早く回して環境に適用することが求められるようになっています。
ネット系企業にとってそれは当たり前でしょうが、リアルが普通の会社にとってはできるようでそう簡単にできなかったりするもの。そこで我々のサービスを使ってもらうと、良い点・悪い点が明確になり、効率の良いマーケティングを提供できると思いますので、そうしたサポートをさせてもらえたら嬉しいです。
あとは現代のマーケティングにおいてデータやIT、AIというテクニカルな要素はもはや不可欠ですが、何となくこれらに苦手意識を感じている人もいるでしょう。ですがマーケティングというのは、「認知」「理解促進」「購入」「リピート」と基本シンプルで、プランニングや実行自体もシンプルにできるもの。
中でも我々のシングルソースという特徴のあるデータは、マーケティング活動自体を民主化、一般化するお手伝いができると思うので、もし難しく感じている方がいればシンプルにビジネスする環境を提供させてもらいたいと思います。