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MarkeZine Day(マーケジンデイ)は、マーケティング専門メディア「MarkeZine」が主催するイベントです。 「マーケティングの今を網羅する」をコンセプトに、拡張・複雑化している広告・マーケティング領域の最新情報を効率的にキャッチできる場所として企画・運営しています。

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データで読み解く、ポストCookie時代のマーケティング

Google、Apple、Meta…グローバルプラットフォーマー各社のポストCookie対応


「データクリーンルーム」への注目が高まる

 データクリーンルーム(DCR)とは、プラットフォーマーがユーザーのプライバシーやセキュリティを担保しながら、プラットフォーマーが保有するデータと、広告掲載の結果や広告主の持つ許諾済みのデータを掛け合わせて分析し、深い考察ができたり、広告活動におけるPDCAを回せたりするものです。データクリーンルームは、必ずしもポストCookie対応のために誕生したわけではないかもしれませんが、今まではDMPや3rdパーティCookieを使って様々なベンダーから購入したデータをシンクして分析をしたものが、Cookieレスになり困難になってくることが想定されるため、注目されてきています。

 Amazon Marketing Cloud(AMC)や、Google Ads Data Hub(ADH)など、徐々に事例も出始めていますし、その他の大手メディアサービス、プラットフォーマーなどもデータクリーンルームの開発を検討されているので、今年から来年にかけて多くのデータクリーンルームが誕生すると思います。当然、各データクリーンルームで保有するデータは各メディアやプラットフォームでなくなるため、参照できるデータも異なります。また、個を明らかにするような分析は、プライバシー保護の観点からも避けなければならないので、ある一定程度のデータ量があるものしかデータが参照できない仕様となっています。

 主な活用用途として、第一に挙げられるのが、デジタル広告を実施したクライアントに対し、通常のimp、クリックだけでないレポートを出すことです。次回の広告配信プランのための示唆を得ることができます。たとえば、ある広告主の広告が配信された消費者の興味関心や属性の割合ランキングと、その広告をクリックした消費者の興味関心や属性のランキングを比べることで、次回以降のクリックを求める広告プランニングが提案可能となります。

 また、データクリーンルームの中に、広告配信されたデータに対する分析(レポート分析)だけでなく、ユーザー許諾済みのデータを入れることで、配信する前から効果的なプランを検討するプランニング分析も可能になります。たとえば、ある広告主が実店舗でのデータ許諾済みの顧客データを保有しており、それをデータクリーンルームに入れることで、実店舗の顧客を自社のECサイトに誘導するプランニングをすることが広告出稿の前にも可能になります(一部のデータクリーンルームはまだ対応していないケースもあります)。

調査会社もデータクリーンルームを活用

 弊社のような調査会社から見ても、データクリーンルームは非常に魅力的な存在です。今まで行ってきたデジタル広告の効果測定(ブランドリフト調査)は、ポストCookie時代においてはデータクリーンルーム上で行うケースももちろん増加するのではないかと考えています。

 今まではCookieを用いて、広告接触者と非接触者を選定し、その方々の広告認知率や購買意向率の差を見ることで広告効果を測ってきましたが、データクリーンルーム時代では逆になるイメージです。広告認知や購買意向のあったユーザー群と、そうでなかったユーザー群をデータクリーンルーム上で参照し、広告認知や購買意向のあったユーザーには、広告接触者の割合が多かったという形で広告効果を計測していきます。

 また、調査会社のモニターの方々には、モニター会員登録時と、調査回答時の両方で都度データ許諾を取っており、データクリーンルームのデータとしては基準をクリアしていると考えます。アンケートで取得した「電気自動車に乗っていると回答した人」や、「電気自動車の購入を検討している人」、「自動車に興味のない人」のそれぞれの群をデータクリーンルームに入れて比較することで、どこに広告を配信すれば親和性が高いか? など、プライバシーに配慮した広告配信をできるのではないかとも考えています。

 また、オフラインの購買データをデータクリーンルームに入れて参照することで、OMO(Online Merges with Offline)のプランニングもできそうです。我々もグローバルの調査会社と同様にデータクリーンルームを使えるよう働きかけていきたいと思いますし、調査にご協力いただくモニターの方々へさらなるデータ許諾を進めていきたいと思います。

調査レポートをプレゼント!アンケートにご協力ください

 次回は、デジタルマーケターの皆様に向けて実施するアンケート結果を基に、一般ユーザーとのプライバシー意識の差異や、ポストCookie対策の現在地を可視化したいと思います。本記事を読んでくださった皆様も、ぜひアンケートにご協力いただけると幸いです。

「デジタルマーケティングに関する意識調査」(回答目安時間:5分)
https://questant.jp/q/142DXGZ4

※締め切り:2022年3月4日
※調査レポートをご希望の方のみ、アンケートの最後で会社名、氏名、メールアドレスをご記入ください。回答いただく個人情報は、MarkeZineや調査レポート等で公開することは一切ございません。

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この記事の著者

斉藤 司(サイトウ ツカサ)

株式会社マクロミル 執行役員/データビジネスデザイン本部 本部長

元放送作家。デジタルアドバタイジング・コンソーシアム株式会社、AmericaOnline(現 Verizon Media )、C Channel 株式会社を経て2017 年にマクロミルに入社。デジタルマーケティング部事業部長を経て、現在は執行役員...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2022/02/24 17:27 https://markezine.jp/article/detail/38279

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