ニッチ&パーソナライズに突入
――2021年12月にサブスク大賞2021を発表されましたが、受賞サービスを見て感じることはありますか。
大きく2つあります。1つ目は、ニッチなサービスの受賞も増えてきた点です。たとえば、BtoB部門でブロンズ賞を受賞したエアプラは、車業界に特化した売り場作り支援サービスです。車販売店や整備工場、レンタカー屋など各業態に合わせた販促POPを簡単に作ることができます。
このようなサービスが生まれた背景には、サブスクが世の中に普及し始めたこと、そしてサブスクに関するノウハウが増えたことが挙げられます。これにより参入障壁が下がり、これまでよりニッチなサービスが増えてきたと考えています。
2つ目はパーソナライズドなサービスの増加です。オンライン上のカウンセリングにより、髪の状態や好みに合ったパーソナライズ提案を行うMEDULLAや、次世代型オンライン薬局サービスのYOJOなどが今回受賞していますが、いわゆるサブスク3.0のフェーズに日本も突入してきたと考えています。
――今回グランプリには「旅のサブスク」サービスであるHafH(ハフ)が選ばれましたが、どういった受賞理由だったのでしょうか。
旅という体験をサブスク化している点が受賞理由になります。これまでも宿泊施設をネットワーク化し、サブスクで提供するサービスなどはありました、しかしHafHでは、日本航空やPeach、JR西日本などと提携し、移動部分も含めたサブスク化にも挑戦しています。大企業と手を組みながらサービスを伸ばす姿勢に本気度の高さも感じましたね。
――ちなみに、サブスク大賞の受賞サービス以外に、注目しているサブスクはありますか。
遊園地の東京ドームシティアトラクションズが提供している、アトラクションが遊び放題の定額制チケットTDCAサブスクパスですね。都市部にある遊園地というのは世界的にも珍しく、また商業施設も隣接しています。そのため、遊園地の来園回数が増えれば、商業施設のテナントへの集客・売上に寄与することができます。TDCAサブスクパスの購入者には東京ドームシティ内の施設やお店で使えるクーポンも付与しており、この定額制チケットをフックに集客を強化しようというのがうかがえます。
サブスクが存在する前の不満に着目
――これからサブスクに参入する際、気を付けるべきポイントはありますか。
サブスク振興会では、毎月月例会を通じてサブスクのトッププレーヤーの方々に様々な講演をしていただいています。その中で感じているのはどの方も自らの生活で感じた不満をヒントにサービス化しているという点です。たとえば「家具は高額なのに試すことができない」という不満から家具のサブスクを始めたり、「どうスタイリングしたらいいかわからない」という悩みから洋服のサブスクを始めたりと、サブスクが誕生する前に当たり前とされているがストレスに感じていた点を見つけ、その課題解決としてサブスクを始めています。
このように、生きている中でストレスに感じている部分や、顕在化していないストレスを見つけることが、これからサブスクに参入する際は重要だと思います。
――その他にはいかがですか。
顧客に対しわかりやすいお得感を提示することが必要だと思います。サブスクが一般化したことで顧客の目も厳しくなってきました。様々なサービスと比較検討されます。わかりやすいオファー設計がより重要になってきています。
また、PR戦略を綿密に練ることが非常に重要だと思います。月例会に登壇いただく企業の多くが広告に依存せず、PRを上手く行ってサービスを成長させています。そして、サービスがある程度浸透してきた段階で広告などに投資を行うのです。
