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特集:サブスクリプションの現在地

サブスクリプションビジネスを拡大させるカスタマーサクセスの秘訣

カスタマーサクセスに必要な2つのこと

――カスタマーサクセスとコミュニティの相性が良いこと、サブスクリプションビジネスにおいて重要なことがわかりました。では、実際にサブスクリプションビジネスを展開する企業が、カスタマーサクセスやコミュニティ形成・運営を行う際、どのようなことが求められるのでしょうか。

 カスタマーサクセスに関しては、前提として良いプロダクト・サービスを作るところから逃げないことが重要です。どれだけ手厚いフォローができても、良いプロダクト・サービスでなければ継続されないためです。

 その上で重要なのが、「すぐ成果につながらないことからやる」「社内の理解を得ておくこと」の2つです。前者に関しては、BtoBであれば現在利用しているお客様にお会いしてインタビューしたり、お客様の普段の業務を見学したりする。BtoCであれば、ターゲットユーザーへのヒアリングや利用中の様子の観察などを通じて、お客様がどのような人たちなのか、そして商品・サービスに満足しているときにどのような状態なのかを理解しに行くべきです。

 カスタマーサクセスは顧客の成功した姿というゴール地点から逆算して作ったカスタマージャーニーと現状のギャップを埋めていく仕事です。そのためにも、顧客理解は最も大事だと思います。

 後者に関しては、すぐにスケールしないこと・数値で成果が出ないことを行うため、事前の社内の承認や理解が必須だということです。いきなり顧客インタビューを始めても「売上につながらない活動をしている」と見られてしまうので、最終的なビジネスインパクトやそのインパクトを生むためのスケジュールを伝えておくことが重要になります。

――顧客理解を進めた後は、契約後の顧客に対して様々なフォローをしていくのだと思いますが、その際に気を付けるべきことはありますか。

 カスタマーサクセスで特に注力するのは導入後のオンボーディングだと思います。そして、オンボーディングのポイントは、最終的にこうあるべきという姿と、そこに向けたマイルストーンを企業側が定義すること。そして、サービスの利用状況を定量的に判断できる基準を用意し、その基準が満たされていないユーザーに対してアプローチすることです。

――コミュニティ形成・運営に関するポイントはいかがでしょうか?

 コミュニティは顧客志向、さらには顧客主導の考え方が大事です。企業が一方的にテーマを設定するのではなく、コミュニティの中核となるメンバーと対話を繰り返しましょう。顧客の承認を得ながら、顧客にとって関心があり持続的に交流できるテーマを見つけるプロセスが、コミュニティの成否に大きく関わります。

 また、私たちがお客様のコミュニティ形成・運営を支援する際は、コミュニティのテーマや位置づけを考えた後、その仮説に当てはまるターゲットをフェーズ毎に招待して検証します。その上で一般ユーザーにも広げていきます。いきなり全ユーザーに対してオープンにするのではなく、そのコミュニティごとに戦略と意思を持って運営していくことが大切です。

――実際に御社が支援している企業で、上手くいっている事例があれば教えてください。

 完全栄養食の開発・販売を行うベースフード様はコミュニティ運営に成功している企業の1つです。同社では、commmuneを活用してコミュニティサイト「BASE FOOD Labo」を運営しています。コミュニティの中では、社員とユーザー、ユーザー同士のコミュニケーションを活性化させながら、ユーザーから新しい商品の活用法、新しい企画のアイデアを集めています。

 実際に得られた活用法やアイデアは、顧客向けのコンテンツや商品開発などに活かしており、同社の担当者様からは「お客さまのご不満やご期待の声をダイレクトに拾えるため、スピーディに商品やサービスの改善に反映できる」と評価いただいています。

多くのビジネスがサブスクリプション前提に

――最後に、今後サブスクリプションビジネスがどのように進化、変化していくと考えているか、展望をお聞かせください。

 サブスクリプションビジネスは、より幅広い領域に広がっていくと思います。最初は動画や音楽、書籍・マンガなどのコンテンツが中心でしたが、最近は家具や車など扱う対象も広がっており、BtoBも様々な領域でSaaSが生まれています。今後もその流れが加速すると考えています。

 また、サービスのパーソナライズも必然的に進化するのではないでしょうか。サブスクリプションビジネスはユーザーが常に解約の権利を持っているので、満足してもらえないと継続につながりません。そのためにも、個人の興味・関心や性格に合わせたサービス提供・改善が求められると思います。

 そして、多くのビジネスが今後サブスクリプション前提になっていくと考えています。これまではマスに広く商品を提供していくのが一般的でしたが、今後はニッチな領域でも愛される商品・サービスを作ることができれば高いLTVで安定した経営が可能です。

 我々が日々コミュニティ支援をしていて感じるのは、ニッチな商品・サービスは似た価値観・嗜好性を持っている人が集まりやすいため、マス向けの商品・ユーザーよりもコミュニティが活発化しやすいということです。今後は商品・サービスを出す段階でコミュニティ性を意識したものがどんどん出てくるのではないでしょうか。

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この記事の著者

道上 飛翔(編集部)(ミチカミ ツバサ)

1991年生まれ。法政大学社会学部を2014年に卒業後、インターネット専業広告代理店へ入社し営業業務を行う。アドテクノロジーへの知的好奇心から読んでいたMarkeZineをきっかけに、2015年4月に翔泳社へ入社。7月よりMarkeZine編集部にジョインし、下っ端編集者として日々修業した結果、2020年4月より副...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

MarkeZine編集部(マーケジンヘンシュウブ)

デジタルを中心とした広告/マーケティングの最新動向を発信する専門メディアの編集部です。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2022/02/25 09:30 https://markezine.jp/article/detail/38358

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