商談の循環作り、肝は「失注理由」
失注・クローズにしたリードや商談の循環作り(リードリサイクル)も大切な観点だ。そこで重要になってくるのが、失注した理由が詳しくログとして残っているかどうか。
たとえば他社製品の導入を理由に失注した相手へ再度フォローするとしよう。不採用の理由が機能面にある場合、自社製品にその機能が備わらなければ受注につながる可能性は低い。まずは失注や商談をクローズにした理由を明確にして、それを踏まえて次に何のアクションをいつまでにやるかを管理することが大切だ。
インサイドセールスがリードのリサイクルに活用できてないと感じる場合は、まず失注した企業やクローズになったリードが管理されているか、その理由が明確かを確認するといいだろう。失注理由などが明確でない場合は、営業側にデータがあるかどうか、データを残すための運用が会話されているかどうかを考えていく必要がある。
マーケターは全体最適を目指すべし
ここまでの話を踏まえ、富家氏は次のように語る。
「マーケターがやるべきは、創出したリードが商談、受注に至るまでのサイクルを俯瞰で捉えることです。どこにボトルネックがあるのかを特定して、改善のアクションを実行していくことが本当に重要だと思っています」(富家氏)
最後に、新規顧客開拓と商談機会創出のためのポイントとして3つを挙げて富家氏はセッションを終えた。
1つ目が「データに基づく活動」だ。インサイドセールスや営業の活動や、顧客との取引実績など、データに基づく活動にしていくことが非常に重要だ。そのためのデータ基盤の整備や活用、運用フローの構築には苦労がともなう。だが、そこを踏ん張って実践していくことが大切だ。
2つ目が「条件は明確に」。リードクオリファイやトスアップ、リサイクルなど、各条件をそれぞれ関係者の間ですり合わせて、合意することが大切だ。また、決めたルールは状況に応じて柔軟に見直しをかけることを前提に進める。条件が曖昧になると、文句が出やすい状態になる。きちんと向き合って、明文化していくことに取り組んでほしい。
3つ目が「マーケは全体最適を目指す」。マーケティング組織はリード創出がミッションだが、LTV最大化のためには、インサイドセールスや営業が抱えている課題解決にも注力する必要がある。
「マーケティング組織が全体を俯瞰でとらえ、全体最適の観点でアクションを実行していくこと、そしてそのマインドを持つことが一番求められることではないかと思っています」(富家氏)