学んだ知識を自社に合わせてチューニング。その過程で力が付いた
――必要なアクションを考えた結果マーケティングに行きついた、という経緯だったのですね。
はい。ブラザー販売でもちょうど、BtoBの販売機能を強化したいという話が持ち上がっていたタイミングでした。そのためにはまず、しっかりとした組織を構築する必要があると感じており、そのことを当時の事業部長に相談。少額ながら投資をいただくことができ、マーケティング組織が発足しました。私も含め4人のチームで、最初に行ったのは、オウンドメディア「ビジネスNAVI」に掲載するコンテンツの制作と、プリンターの無料貸し出しサービスの企画でした。並行して、社内に散在しているデータやリードなどの整備にも着手しました。
――その取り組みは成果を残し、2020年、日本経済新聞社が主催するNIKKEI BtoB Digital Marketing Awardのデマンドジェネレーション賞を受賞されました。マーケティングの実務は未経験の中、どのようにしてノウハウを学び、取り組みを進めてこられたのでしょうか。
MBAの授業やビジネス書から得ていた知識もありましたが、それらは理論がメインでしたので、そのまま実践に活かせるものばかりではありませんでした。そのため実務者向けのオンライン講座などを受講し、デジタル広告の出稿の仕組みといった各領域のノウハウをインプットしました。実作業は代理店の方にお願いする場合でも、仕組みを知っておかなければ良いディレクションができないからです。
マーケティングのノウハウは今、様々な方法で学ぶことができます。ですがそうした情報はあくまで一つの考え方であり、状況に合わせてチューニングすることが重要だと考えています。私が行ってきたのも、教科書に載っているものを少し変更しただけのものがほとんどです。自社で展開するにはどうしたら良いかを考え、実行していくことを通じて、マーケターとしての力が付いていったと感じました。
――マネージャーとして、チームのスキル向上やモチベーションアップにも取り組まれていました。
マーケティングの経験・知識のあるメンバーはいなかったので、まず基本的なマーケティングを学ぶコースへ研修に行ってもらいました。その上で仕事の様子を見ながら、それぞれどういう仕事が好きか、向いているのかを見極め、できるだけその仕事をお願いするようにしていました。
私もメンバーも、一生その会社で働き続けていくかはわからないと思います。そのため、なるべくスキルを高められる機会を提供したかったですし、好きな仕事に携われるとモチベーションも高まり、それがアウトプットの質につながると考えていました。もちろん会社なので好きな仕事ばかり、とはいきません。そういうときはその仕事がなぜ今必要なのかについてメンバーの理解を得るようにし、KPIなどの目標も一緒に決めていきました。