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MarkeZine Day(マーケジンデイ)は、マーケティング専門メディア「MarkeZine」が主催するイベントです。 「マーケティングの今を網羅する」をコンセプトに、拡張・複雑化している広告・マーケティング領域の最新情報を効率的にキャッチできる場所として企画・運営しています。

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足立光氏・西口一希氏が語ったマーケターの素養と育成の秘訣:グロース Xマーケティングサミットレポート

新人マーケターには何を学んでもらえばいいか?

質問5

マーケティングを新たに担うことになった人材に、何から学ばせればいいですか?

足立:全体像、過去事例、レビューが大切です。まず、全体としてどういうKPIを追っていて、その中でその人が何の責任・数値を担っているかを説明しましょう。全体像がわからなければ、一生けん命やっていても、それがなんのためなのかわからない、ということになります。

 学習スピードを上げるためには、その会社の過去の事例をたくさん学ぶことです。コンサルでよくやる方法ですね。過去の事例をばーっと読むと、よく出てくる言葉や効くもの、効かないものの「当たり」がつくようになります。過去事例を共有してあげるというのは、教育効果が高いと思います。

 そして、実施したことに対して短いサイクルで繰り返しレビューしてあげると、どんどん学習していくので、成長のスピードが速まります。

西口:足立さんは部下の方々にどのようにフィードバックしていますか?

足立:ファミリーマートでは月2回、マーケティング部門全員参加で、いろいろなプロジェクトのレビューをしています。商品の開発担当や全エージェンシーさんも入っているので、100人を超えるときもありますね。

質問6

資金、人材…リソースが少ない企業にかかわることになったら、まず打つ一手は?その上で大事な考え方は?

足立:「広告を見たことがなくても認知しているもの」って、実はたくさんあると思います。ということは、認知を獲得する方法は広告以外にもたくさんあるわけです。先ほどお話ししたように、ファミリーマートも、オウンド・アーンドメディアを強化しているところです。

西口:日本マクドナルドにいらっしゃる頃から感じていましたが、足立さんは「なるほど、おもしろい!」と思うようなニュースを作るのが上手いですよね。ファミリーマートさんも最近、話題が次々と出てくるようになりました。秘訣はどこにあるのでしょうか?

足立:基本的なことですが、お客様視点です。消費者としての自分がその施策で動くか、BtoBならば一購買担当として動くかを素直に考えることが、本当に大切です。やる側としてどうか、ではなく、お客様が、というマインドセットで仕込んだ施策が一度上手くいくと、社内からどんどん新しいアイデアが出てくるようになりますよ。

質問7

面接担当者として「マーケティングの素養」を見抜くためにしていた質問は何か?

足立:2つあります。1つ目は人や世の中に興味を持っているかどうかを確かめる質問です。先ほど飲み会の例を出しましたが、マーケティングは人に楽しんでもらうための仕事です。「こういう人をおもてなしするとき、どういうお店に連れていきますか?」とか「おもしろい本や、最近使ったアプリでおもしろいものはありましたか?」といったことをお聞きします。

 2つ目は、負けず嫌い。ビジネスである以上、数字を達成しないといけませんし、できなかったら悔しがらないといけませんよね。質問としては「学生のとき、自分が一番になったり、なろうと努力したことがありますか?」「社会人になって新しく始めたことはありますか?どんなふうにそれを続けていますか?」といったことです。特に自分に負けないというのは大事ですね。

西口:人を喜ばせた体験を持っているか、というのは私も見ています。そういう人はたとえ立ち上がりが心配でも、最後にはしっかり結果を残していますね。

 あっという間に終了の時間がきてしまいました。足立さん、最後にこのウェビナーをご覧いただいている方にメッセージをお願いします。

足立:繰り返しになりますが、マーケティングというのは、お客様が喜んだり、関係者が喜んだり、自分が上手くやればやるほどいろんな人を幸せにできる仕事です。仮に失敗しても、やり直しできます。私はシミュレーションゲームと同じだと思ってやっています。ゲームだと思ってやると、勝ちたいと思って頑張りますし、いろんなプレッシャーも少なくなります。私自身も、ずっと楽しんでやってきましたので、ぜひ皆さんも、楽しんで仕事をしてください。

西口:真剣にやるけれど、やり直しは効くから楽しみましょう、ということですね。本日はありがとうございました。

登壇者プロフィール

ファミリーマート エグゼクティブ・ディレクター、チーフ・マーケティング・オフィサー(CMO) 足立光氏
P&Gジャパン、シュワルツコフヘンケル社長・会長、ワールド執行役員等・国際本部長などを経て、2015年から日本マクドナルドにて、上級執行役員・マーケティング本部長としてV字回復に貢献。その後、ナイアンティック シニアディレクター プロダクト・マーケティング(APAC)として「ポケモンGO」等のアジア太平洋地域のマーケティングを統括し、20年10月より現職。I-ne社外取締役、スマートニュースおよび生活協同組合コープさっぽろのマーケティング・アドバイザーも兼任。

Strategy Partners 代表取締役 兼 M-Force 共同創業者 西口一希氏
1990年大阪大学経済学部卒業後、プロクター・アンド・ギャンブル・ジャパン(P&G)マーケティング本部に入社。ブランドマネージャー、マーケティングディレクターとして、「パンパース」「パンテーン」「プリングルズ」「ヴィダルサスーン」などのブランド担当。2006年ロート製薬に入社。執行役員マーケティング本部長として「肌ラボ」「Obagi」「デオウ」「ロート目薬」などの60以上のブランドを統括。2015年ロクシタンジャポン代表取締役、メルヴィータジャポンにて代表取締役社長。アジア人初のグローバル エグゼクティブ コミッティメンバーを経て、ロクシタン社外取締役戦略顧問。スマートニュース執行役員マーケティング担当(日本・米国)を経て、M-Forceを創業。Strategy Partners代表取締役社長。

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この記事の著者

蓼沼 阿由子(編集部)(タデヌマ アユコ)

東北大学卒業後、テレビ局の報道部にてニュース番組の取材・制作に従事。その後MarkeZine編集部にてWeb・定期誌の記事制作、イベント・講座の企画等を担当。Voicy「耳から学ぶマーケティング」プロジェクト担当。修士(学術)。東京大学大学院学際情報学府修士課程在学中。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2022/04/11 08:00 https://markezine.jp/article/detail/38616

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