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MarkeZine Day 2025 Retail

データで読み解く

急拡大のVR市場。「VRデバイス」保有者の特徴、利用目的の変化とは?

40代が躍進。「先進性に惹かれて」から「コンテンツを楽しむ」へシフト

 では、VRデバイス保有者のユーザー層・利用目的に変化は起きているのだろうか。ここからは2017年のデータと比較を行う。

 ブランドデータバンクにおけるVRデバイス保有率は2017年が1.05%だったのに対して、2021年が1.64%と増加している。VRデバイスはブランドデータバンクにおいても、右肩上がりの製品であることが確認できる。

 次に、属性でどのような変化があったのか確認する(図表3)

図表3 VRデバイス保有者の変化(タップで画像拡大)
図表3 VRデバイス保有者の変化(タップで画像拡大)

 伸長率を性年代で分解すると特に伸長しているのは、男性40代であることがわかる。2017年時点でVRデバイスは若者向けのコンテンツであったため、値としては3番目の大きさではあるものの、4年間で男性の40代以上の人にも普及していったことがわかる。一方で、女性は伸長しているものの微増であり、変わらずマイナー層である。

 続いて、お金周りの変化を確認していくと、2017年のVRデバイス保有者は2021年よりも平均年収が高かったことがわかる。また、貯畜・消費を両立していた人から貯畜よりも消費金額が多めの人に変化している。

 続いて、価値観やブランドの変化を確認していく(図表4)

図表4(タップで画像拡大)
図表4(タップで画像拡大)

 信頼できるメディアの変化としては、ニュースサイトやメーカーサイト・ブランドサイト、友人・知人の割合が伸長している。また、SNSの利用目的も1位は近況の投稿と変わらないが2位が人とのコミュニケーションから趣味の投稿に変化している。そのためか、最も利用するSNSではコミュニケーション目的で使われるLINEよりも趣味の投稿がしやすいTwitterが順位を上げている。

 価値観を見ると2017年は、「流行やトレンドに敏感なほうだ」「自分は熱しやすく冷めやすいタイプだと思う」の項目が2021年と比べて高く、イノベーター気質であることがうかがえる。一方2021年は、「自分は一度はまると結構のめり込むタイプだと思う」「他人が知らなくても、自分が良いと思うものを選びたいと思う」の項目が高く、自分の好きなものを突き詰めるタイプへと変化したと考えられる(図表5)

図表5 VRデバイス保有者の価値観の変化(タップで画像拡大)
図表5 VRデバイス保有者の価値観の変化(タップで画像拡大)

 趣味の2017年からの変化としては、コロナ禍の影響もありカラオケやドライブ、スポーツといった外出をともなったり、複数人で楽しんだりするような趣味が減少し、読書や据え置き型ゲーム、料理といったインドアな趣味が伸長している。また、2017年はネット・ゲーム・映画といった項目が割合上位であったが、2021年も傾向は変わらず、同様のコンテンツに引き続き時間を割いていることがわかる。

VRデバイスで楽しめるコンテンツ作りがカギに

 本調査ではブランドデータバンクを用い、VRデバイスを保有しているユーザーの特性を明らかにした。

 2021年の属性からは、お金に余裕のある男性20〜40代であることと、VRデバイスで遊ぶスペースを確保しやすい人がVRデバイス保有者の特徴であるとわかった。また、情報感度が高い社交的な人であることもわかった。情報感度が高いのは先進的なものや流行の物を取り入れるためと趣味を楽しむためであり、VRデバイスはその両方のニーズに合っているため購買されているのではないかと考えられる。

 また、2017年からの変化を追うことで、先進性に惹かれてVRデバイスを購買している層から、趣味に活用するために購買している層へとシフトしていることがわかった。自宅で過ごすことがコロナ禍により多くなり、リアルで人に会う機会が減ったことが、VRデバイスの購入や仮想空間での人との交流を後押ししているという仮説がデータから読み取れた。この結果から、今後VRデバイスは、先進性の高さなどの技術面よりも、いかに好みのコンテンツがVRデバイスで楽しめるかどうかが購買の重要なファクターとなりそうだ。

【調査概要】
『2021年VRデバイス保有者』の定義:
ブランドデータバンク第33期調査回答者のうち「自宅で所有しているデジタル家電・通信関連機器」の設問で、「VR・ヘッドマウントディスプレイ」と回答した20~60代の人(n=478)
『2021年全体』の定義:
ブランドデータバンク第33期調査回答者のうち20~60代の人(n=29,144)
『2017年VRデバイス保有者』の定義:
ブランドデータバンク第25期調査回答者のうち「自宅で所有しているデジタル家電・通信関連機器」の設問で、「VR・ヘッドマウントディスプレイ」と回答した20~60代の人(n=321)
『2017年全体』の定義:
ブランドデータバンク第25期調査回答者のうち20~60代の人(n=30,677)

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この記事の著者

石丸 悠太郎(イシマル ユウタロウ)

株式会社マクロミル 
デジタルマーケティング本部 テクノロジー&デジタルプロダクツ部 
データアナリスト

 大学院では情報科学を専攻し、ID-POS、移動データを用いた店舗内回遊モデルの構築とマーケティングへの応用を研究。アナリストとしてプロダクト企画部門に所属し、データサイエンスを活用した分析ソリ...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2022/03/28 09:30 https://markezine.jp/article/detail/38621

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