こんにちは。定期誌『MarkeZine』第76号の特集「リテール最新動向」を担当したMarkeZine編集部のたでぬまです。
本号では、今最も大きな変化が起きている領域の一つであるリテール業界に注目しました。コンテンツは(1)売り方、買い方の変化、(2)事例に学ぶ、(3)業界キーパーソンに聞くイチオシの買い物体験、(4)最新リテールテック解説の4つに分けられます。
(1)ではまず、今年1月に『小売DX大全 オムニチャネルの実践と理論』を上梓した、日本オムニチャネル協会 逸見光次郎さん、神奈川大学 中見真也先生にインタビュー。見えてきたのは、いまリテール業界は部分最適ではなく、全体の組み換え・機能の見直しが必要なタイミングにあるということです。だからこそ、部署や企業といった立場を超え、相互理解を進めていくことが重要になります。お二人は、共通ゴールとして「顧客体験価値の向上」を掲げようと提言されており、この言葉を記事タイトルにもそのまま採用しました。
もう1本の記事では、電通デジタルのリテールエクスペリエンスグループに属する岡本静華さん、辻田光子さんに、消費者への定量調査の結果を解説いただきました。調査では、主にリアル店舗が担っていた様々な機能・体験について、オンラインで代替できるもの・できないものが浮き彫りになっており、今後のリアル店舗やリテールビジネスの在り方を考える上で役立ちます。また、買い物体験を便利にしたり豊かさを加える各ソリューションについては、単に導入するだけではなくUXにまで落とし込む試行錯誤が必要なフェーズに来ていることが、お二人のインタビューから読み取れます。
(2)では、ユナイテッドアローズのEC・アプリのリニューアルについてユナイテッドアローズ 藤原義昭さんに、「セブン-イレブンアプリ」およびその根底にあるラストワンマイル構想について、セブン-イレブン・ジャパン 福島一晃さんに取材しました。オフラインとオンラインをつなぎどのような体験を設計するのか、各社の思想や方針をよく学ぶことができる内容です。
(3)では、最近体験した購買体験について5名のマーケティング関係者にコメントを寄せていただきました。自分の興味・関心以外のジャンルから、体験や世界観の作り方を学べるコンテンツを作りたいというのが企画の狙いだったのですが、予想以上に多様なコメントが集まっており、「こんなやり方があるのか!」と新しい発見をしていただけると思います。
(4)の最新リテールテック解説では、博報堂プロダクツの吉田和史さん、ビーツの上野山沢也さんに、各種テクノロジーの仕組みや用途、今後の発展可能性などを詳しく教えていただきました。これらのテックは購買体験を直接的に向上するだけでなく、マーケターの消費者理解を助けるツールとなり、結果として体験の向上につながっていくという側面もあることが実感できます。
定期購読誌『MarkeZine』としては久しぶりにリテール業界を特集したこともあり、ページ数が膨らんでしまいましたが、通しでお読みいただくことで、業界の現在・これからを考えるヒントが得られるはずです。ぜひご活用ください!
担当編集 蓼沼阿由子
東北大学卒業後、テレビ局の報道部にてニュース番組の取材・制作に従事。その後MarkeZine編集部にてWeb・定期誌の記事制作、イベント・講座の企画等を担当。Voicy「耳から学ぶマーケティング」プロジェクト担当。東京大学大学院学際情報学府学際情報学専攻 修士課程在学中。
目次
Insight
ライフカルチャーを楽しむリゾートパークを目指して 「北欧、暮らしの道具店」が事業の先に見据えるもの
クラシコム 青木 耕平/高山 達哉
Feature リテール最新動向
「顧客体験価値の向上」を共通ゴールにしよう。『小売DX大全』著者からの提言
日本オムニチャネル協会 逸見 光次郎& 神奈川大学 中見 真也
鍵は「UXへの落とし込み」リテールビジネスの今後を消費者調査から紐解く
電通デジタル 岡本 静華/辻田 光子
半歩先の進化が、より良い顧客体験に ユナイテッドアローズのEC・アプリのリニューアルから学ぶべきこと
ユナイテッドアローズ 藤原 義昭
「セブン-イレブンアプリ」で高まる店舗体験とその先にあるラストワンマイル構想
セブン-イレブン・ジャパン 福島 一晃
業界キーパーソンに聞くイチオシの買い物体験
アイレップ 武者 慶佑 / The Breakthrough Company GO 小川 貴之 / Sparty 西田 将之 / Virtusize 高橋 君成 / バニッシュ・スタンダード TSUKASA.
買い物体験を豊かにする、最新リテールテック
博報堂プロダクツ 吉田 和史
リテールテックで店頭体験は進化する──量販店などで導入広がる「リモート接客」の可能性
ビーツ 上野山 沢也
Column
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