必要なのはお酒を飲まない・飲めない人のインサイトとデータ
──お酒を飲めない人・飲まない人と飲める人が交わる部分を提供できるよう立ち上げたのがスマドリ社とのことですが、電通デジタルと合弁会社として立ち上げた理由をうかがえますか。
梶浦:アサヒビールの社員の多くはお酒が大好きで、お酒を飲む人の声はどの会社よりも拾い上げてきた自負があります。ただ、飲めない人のインサイトやデータが収集できていないことを課題に感じていました。
スマドリ社を立ち上げる前から、お酒を飲まない・飲めない人へのリサーチを数多く行ってきましたが、デジタルの力を活かしてもっとデータを集められないかと考え、電通デジタルさんとの合弁会社設立に至りました。
濱田:私もこれまで、電通デジタルからアサヒビールさんに出向して梶浦さんが部長を務める新価値創造推進部でCRMマーケティングやスマドリのPRなどに従事してきましたが、これまでの取り組みでは飲める方のデータが中心になっていることを課題に感じていました。

そのため、2021年5月にスマドリの公式Twitterアカウントを立ち上げ、飲めない・飲まない人との接点を作り、データを収集してきました。
そして、電通デジタルとしてもこれ以外に様々な取り組みで飲めない・飲まない人のインサイトやデータの収集・活用にご協力できると思い、スマドリ社に参画しています。
スマドリの発信拠点としてバーを開店
──4月20日の記者発表会では、「SUMADORI-BAR SHIBUYA(スマドリバー シブヤ)」のオープンを発表されましたが、この背景について教えてください。
梶浦:スマドリ社では、飲めない・飲まない4,000万人のうち、「体質的には飲めないけど、飲みの場は好きで、外のみは参加する」「体質的には飲めるけど、家飲みはしない、飲みの場は好き、でも酔いたくない」人を第一ターゲットとしています。

このターゲットの人たちの声を拾っていった結果見えてきたのが、「お酒が飲める人たちばかりズルい!」というインサイトでした。先ほどお話ししたように、飲める人と飲めない・飲まない人の交わる部分が作れていなかったのは、このインサイトを捉えられていなかったからだと考えています。
そこで「飲めない自分を、もっと楽しめる。」をコンセプトにしたスマドリバーの開店を決めました。飲めない人の声を徹底して拾い上げてメニューを開発することで、飲めない人はもちろん、飲める人も一緒に楽しめる空間を作り上げました。

──飲める人も飲めない人も楽しめるメニューとは?
梶浦:代表的なのは、ハードクラフトレモネードとハードクラフトコーラです。両メニューともにアルコール分を0.00%、0.5%、3.0%から選ぶことができ、自分がどのくらいのアルコール分だと美味しいと感じるのか、違いを比較してもらえるようにしています。
また、その他にも多種多様なドリンクでアルコール分を選べるようにし、合計100種類のドリンクメニューを展開予定です。これまで、居酒屋やバーに行っても、ソフトドリンクはウーロン茶やコーラなど限られたメニューしかないことがほとんどでしたが、スマドリバーでは自身の体質や好みに合わせてドリンクを見つけることができます。
