OTT広告はどこに配信できる?
──OTT広告をテレビに配信する場合、どのような媒体が考えられるのでしょうか。
野屋敷:一番の配信先として考えられるのが、広告課金モデルの映像配信サービスです。具体的にはAJAが属するサイバーエージェントグループのABEMA、YouTube、民放公式テレビ配信サービスのTVer、GYAOなどが挙げられます。
これらのサービスはコロナ禍の影響で軒並み利用が加速しており、テレビでの視聴も増えています。マクロミルが2021年11月に行った「2021年テレビ利用動向調査」によれば、テレビのネット接続率は41.8%で、18〜69歳の人口から推計すると約3,400万人規模になっています。
また、テレビで動画サービスを視聴している人の民放番組と動画サービスの視聴時間(民放番組と動画サービスの視聴時間を合算し、調査対象者1人あたりに割り戻した時間)を調べたところ、民放番組が115.2分/日(49.2%)、動画サービスが118.9分/日(50.8%)と、動画サービスがわずかに上回る結果となりました。
先ほどCTVの浸透が進んでいると話しましたが、OTT広告のテレビに対するリーチも日々拡大しているのです。
──OTT広告では、テレビに絞って配信しても十分なリーチが獲得できるのでしょうか。
野屋敷:現状は、スマートフォンのリーチが大きいです。たとえば、サイバーエージェントグループが運営するABEMAのトラフィックを見ると、6割強がスマートフォン、2割がテレビ、残り2割がPC・タブレットとなっています。テレビはここ1〜2年でその割合を伸ばしています。
理想は見ているコンテンツに合わせたクリエイティブを作ること
──CTVの浸透とともに、OTT広告をテレビで配信できる可能性が広がっていることがわかりました。ちなみに、OTT広告を活用する場合、既存のテレビCMや動画広告のクリエイティブを利用することが多いのでしょうか。
野屋敷:そうですね。クリエイティブを細かく出し分けるのが理想ではあるものの、キャスティングの権利などが絡んで、再編集が難しいという広告主が多い印象です。
今後可能性として考えられるのは、コンテンツジャンルごとにクリエイティブを用意することです。OTTの各サービスには、それぞれ強みとなるコンテンツジャンルがあります。たとえば、ABEMAだとニュースやドラマ、スポーツが人気なのですが、それらのジャンルに合わせたクリエイティブを別途用意する流れは加速すると思っています。
昨今CookieやIDFAの規制が話題となり、人ベースのターゲティングが難しくなっていることから、コンテクスチュアルターゲティングに注目が集まっています。その中でOTT広告は、コンテクスチュアルで最適化できる部分が大きいと思います。