デジタル上のアクションをもとに配信を改善することが重要
──OTT広告は、ターゲティングやフリークエンシーコントロールなどの配信設計ができるのが特徴とのことですが、配信設計で気を付けるべきポイントはありますか。
野屋敷:OTT広告はテレビCMに比べると、計測面に強みがあるので、成果につながるKPIを設定することが重要です。最近ではABEMAとAdjustがパートナー連携を結び、CTV経由のコンバージョンが計測できるようになりました。そのため、アプリやネットサービスなどのデジタル完結したビジネスの場合は、コンバージョンをベースに運用することができます。

──ダイレクトレスポンスは計測方法が整っているんですね。ブランディングの場合はどのようなKPIを置くべきでしょうか。
野屋敷:ブランディングの場合も、できれば特設サイトにアクセスしてもらうなど、デジタル上のアクションを1つ置いたほうがいいです。ブランドリフト調査もできますが、テレビの場合複数人で見るケースもあるため、有意な結果が得られない可能性があるためです。
デジタル上のアクションを置けば、配信したコンテンツジャンルや時間帯、フリークエンシーなどをもとに改善しやすく、効果の最大化につながりやすいと思います。
またブランディング目的の場合は、テレビCMとの併用によるインクリメンタルリーチを狙うのも良いと思います。地上波とOTTを比較すると、OTTのほうがF1とM1層のボリュームが大きいので、地上波では40代以上、OTTでは30代以下のリーチを目指すといったことが可能です。さらに、デバイス横断したフリークエンシーもコントロールできるので、広告接触が多すぎる事態も回避できます。
このようにテレビとOTTが共存するパターンは今後定番化していくと思います。
OTTと地上波のハイブリッド出稿が加速
──最後に今後のOTT広告の展望を教えてください。
野屋敷:現在はOTTを提供するメディアが広告モデルと課金モデルに分かれていますが、今後そこがハイブリッド化していくと思います。現在課金モデルのみの映像配信サービスでも、今後広告配信できる可能性があります。
また、今後テレビのOTT視聴時間はますます伸びていくと予想しています。そのため、OTTと地上波を補完しあう広告宣伝が求められるようになるでしょう。ターゲットに合わせて配信比率を変えながらハイブリッドで組み合わせていくパターンは増えていくと思います。