テレビCMのPDCA、デジタルマーケティングと異なる点は?
――近年、テレビCMを最適化するための様々なツールが開発され、デジタルマーケティングのようにPDCAを回すことができるようになりつつあると言われています。実際にディレクションを経験されて、デジタルマーケティングとの違いを感じた点はありますか。
テレビCMの領域は、運用する上での指標や基準を模索している最中だと感じました。デジタル広告の場合は既に業界にノウハウが蓄積されているので、各社で使用しているKPIにそれほど差はないと思いますが、テレビCMはどんなKPIを設定してPDCAを回していくか、事業会社や依頼している代理店によって差があるようです。
また、具体的にどれくらいの数字が出ればアクションをすべきなのかという基準も固まっていないので、出てきた数字をどう解釈するかが難しいですね。今回当社では3種類のクリエイティブを用意し、それぞれ30秒と15秒バージョンを作って放映したのですが、数字を追っていると、クリエイティブによって成果に差が出ていることがわかりました。どうするか悩みましたが、片方のバージョンは良い成果が出ているクリエイティブに絞り込み、もう片方はいったんそのまま様子を見ることにしました。翌週になって再び数字を見てみると、クリエイティブごとの結果の差分が少なくなっていたんです。見極めが難しいと感じました。
――現時点では絶対的な基準がないという点で、苦労があったのですね。
はい。しかしそのような状況だからこそ、デジタルマーケティングの考え方を知っていたことや、インサイドセールスも含めて幅広い工程に携わっていたことが役に立ちました。特にKPIの設定については、代理店さんからの提案について具体的にディスカッションできたり、テレビCM放映時のWeb上の反響を見ていくときにどんな指標を追えばいいのか自分で考えることができました。