リアル店舗での体験の充実なしに、OMOは成しえない
PLAZAは1966年開始した中核事業で、現在はフランチャイズのMINiPLA、アウトレット、ECサイトも運営している。「たのしさ 探そう 手渡そう。Always News」をスローガンに掲げ、新しい商品の提供を目指し、国内向けキャラクターライセンスを活用したビジネスも展開している。
アフターコロナの時代が迫る中で、リアル店舗の魅力は一層重視されている。PLAZAを運営するスタイリングライフ・ホールディングス向原氏は、コロナ禍以前・コロナ禍・アフターコロナで店頭戦略の変化について説明した。
コロナ禍直後の外出自粛と感染防止措置の強化によって、店舗は休業や時短営業を余儀なくされ、ECの売上が拡大。感染拡大期には、アウトレットや郊外店が好調を保つ一方で、都心の店舗は苦境に立たされた。ECでは限定の販売やイベントが実施され、店頭での限定品も扱うようになった。
現在はインバウンドを含め、売上が回復基調にあり、都心の店舗も好調だ。したがって営業時間の見直しや人員配置の調整が重要視されるようになったという。加えて店頭とECの連携にも注力。オンラインの活性化のためにも店頭の充実が必要であることから、デジタルを利用して店頭でのイベントや販売を拡張している。
「コロナ以前と現在の違いは、ECも含めて売り場となったことです。しかしPLAZAの基本的な体験は、現在も圧倒的に店頭にあります。オフラインの体験や商品が充実していないと、オンラインとオフラインの融合(OMO: Online Merges with Offline)は実現不可能だと考えています。私たちの店頭で実施しているリアルイベントを拡充するデジタル技術や、店頭で行われている活動のスケールを拡大するためのデジタル技術が存在していると考えています」(向原氏)
コロナ禍でも数々の工夫で店頭体験を促進
アイスタイルは「生活者中心の市場創造」というビジョンのもと、ネットとリアルの融合ビジネスを展開。運営するアットコスメでは美容総合メディアとECサイト・店舗を手掛けている。Webサイトと店舗は、スマホアプリを通じて会員のポイント管理などを通じて連携している。
アットコスメストアでも、コロナ禍によって変化が起きた。特にインバウンドの客数減少や店内体験の変化が化粧品市場全体に影響を及ぼし、「販売モデルが変化した」とアイスタイルリテールの田中氏は話す。商品を直接触れる、パッケージに惹かれるなどの要素はデジタル上では補えず、これらの要素は店舗ならではの価値として必要だと指摘した。
現在では変化する生活者のニーズに応えるため、様々な施策を推進中だ。OMOを通じて、ECとの併売が進み、店頭ではアプリの新規登録の案内が徹底。加えて、ライブショッピングやオンラインイベントなどデジタルでの店頭体験が強化している。
加えて従来の施策から重要なものを選定し、接客体験の重要性を保ちつつ、新たな施策や安全にテスターを利用する環境の整備が進んでいる。来店客数が少ない中での買い上げ率や買い上げ点数の維持、密を避けた独自イベントの進行は、変化の中での店頭体験の強化策だ。
「これまで行ってきた活動から選別し、特定の点に徹底的に焦点を当てて進めてきました。たとえば接客体験やタッチアップが実施できない場合、それに対応する別の方法を模索し、アメニティを一層充実させテスター(試供品)が利用できる環境を整えました。来店客数が減少しているならば、買い上げ率などをKPIと設定し、それに焦点を当てました。また密を避ける独自のイベントも実施し、店頭体験も推進していきました」(田中氏)