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WHO/WHATを解き明かす、上流マーケティングの10ステップ

WHO/WHATの解像度を上げ、事業を成功に導く。実務に使える、上流マーケティングのフレームワーク


 近年、ハック的な方法論=「HOW」偏重型マーケティングの限界が指摘され、マーケティングの基礎でありながら、これまで蔑ろにされがちであった「WHO」「WHAT」の重要性が説かれるようになった。しかし、HOWに比べ、WHOとWHATを正しく設定するための具体的な方法論については多数の情報が抜け落ちているのが現状だ。そこでMarkeZineでは、Brandism 代表取締役・木村元氏による新連載「WHO/WHATを解き明かす、上流マーケティングの10ステップ」を開始する。木村氏は、ユニリーバにて12年間ラックスやダヴなどのブランドマーケティングに従事したのち、2021年7月にユニリーバ・グループのプレミアムスキンケアを扱うラフラ・ジャパンの代表取締役に就任。さらに、同2021年にBrandismを創業し、ToBからToCまで、幅広くマーケティングのサポートを行なっている。「より上流のマーケティング戦略を構築するための実用的かつ実践的な方法論をお伝えしたい」と語る木村氏による連載開始に先立ち、本稿ではマーケティングの本質であるWHOとWHATが今、再度注目されている本当の理由と現在の課題、そして連載全体の狙いを聞く。

「マーケティング理論」実践の壁

──本連載では、木村さんが考案された、「WHO」「WHAT」を正しく設定していくためのマーケティングメソッドをお伺いしていきます。10ステップから成るマーケティングメソッドということですが、はじめにフレームワーク開発の狙いについてお聞かせいただけますか。

木村:マーケティングのフレームワークや手法は世の中に数多く溢れるようになりました。フィリップ・コトラーやバイロン・シャープなどアカデミアにバックグラウンドをもつ方のマーケティング理論を本で読まれたことがある方も多いでしょう。P&Gをはじめとするマーケティングに強みがある会社で働いてきた方のマーケティングフレームワークも本や記事でご覧になられたことがあるかもしれません。

株式会社Brandism 代表取締役 木村 元氏
ユニリーバに2009年に入社。約12年間、ラックスやダヴなどのブランドマーケティングを経験。国内を中心とした360°のプロモーションから、グローバルのブランド戦略や製品開発まで、幅広く従事。ロンドン本社にてダヴを担当し、グローバル全体のブランド戦略設計をリードした後、2020年1月より、ユニリーバ・ジャパンにおけるスキンクレンジングカテゴリーならびにダヴブランドを統括。2021年7月より同ユニリーバ・グループのプレミアムのスキンケアを扱うラフラ・ジャパン株式会社の代表取締役に就任。また、2021年より株式会社Brandismを創業し、ToBからToCまで、幅広くマーケティングのサポートを行なっている。

木村:一方で、私自身、欧州系消費財メーカーであるユニリーバ・ジャパンにて13年以上勤務してきて、毎日のようにマーケティングを実践してきましたが、書籍に書かれているような教科書的なマーケティング理論を実践することの難しさを実感してきました。

 時代が変遷しているからとか、デジタライゼーションのバランスが難しいからという外部要因が難しくしているというよりも、マーケティングは学問として成立しつつも、実践として学問の要素が適応できないことがあまりにも多いのです。そのため、理論やフレームワークを頭で理解しても、成果が出る形で実務に落とし込めるのはごく一部のマーケターしかいないのではないかと感じています。

 そして、中でも特に難しいと感じていたのが「WHO」「WHAT」の戦略です。直訳するとWHOは「誰」、WHATは「何」です。一見簡単に見えますが、マーケティング業務の中で最も実践が難しく、経験の長いマーケターでもWHOとWHATを考えるのが難しいと嘆いています。

 学問化しているマーケティングをより実践化することで、本当に実務に使えるフレームワークが必要なのではないか。そうした考えから、私が消費財のマーケターとして経験したこと、またマーケティング支援会社の代表として、BtoB、BtoC問わず支援してきた経験をもとに、実務で使えるWHOとWHATの考え方をまとめたものが、今回ご紹介するフレームワークです。

WHOとWHATなしではマーケティングの成功はない

──では改めて、「WHO」「WHAT」の重要性について教えていただけますか。

木村:WHOとWHATの解析は、マーケティングにおける基礎です。

 サービスやプロダクト開発や広告運用において、WHOとWHATの解像度が低い状態でマーケティングを実行しても、最終的に成功させることは難しいです。また仮に運よく成功したとしても再現性がなく、連続してマーケティングを成功させることはできないでしょう。

 ところが、私がマーケティング支援をしていくなかで感じてきたことは、この基礎であり、最も重要な「WHO」「WHAT」の設定が曖昧なまま、「HOW」を追求してしまう会社が非常に多いということです。

 たとえば、テクノロジー起点で新しいブロックチェーン技術を活用して、何かを売りたいということであればわかります。しかし、技術が特にない会社が、「TikTokやYouTubeが流行っているから動画で何か売りたい」となると高い確率で事業は失敗します。TikTokでモノを売るというのはHOWの一例に過ぎませんが、目の前に流行っているツールに飛びつきたくなる経験は誰しもがあるのではないでしょうか。

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デジタルハック傾倒の危険性

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この記事の著者

MarkeZine編集部(マーケジンヘンシュウブ)

デジタルを中心とした広告/マーケティングの最新動向を発信する専門メディアの編集部です。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2022/10/04 10:26 https://markezine.jp/article/detail/39083

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