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今までにない体験で「住む」を自由に NOT A HOTELのCXOが、取り組みとその意図を語る

今までにない体験だからこそ、すでに知っていることや常識を越境せよ

――CXOとして取り組んでいることや意識していることはありますか?

ひとつは、横の連携づくりです。建築も運営もビジネスレイヤーもですが、何がチームとして動いていて、建築上どのような仕様になっていて、そのための運営をどうするかといった流れを横断できるような体制にしなければなりません。そのための、Slackでのコミュニケーションや会議体などの設計も私がやるべきことのひとつだと考えています。あとは画面設計をはじめとした仕様づくりや採用などが今のメイン業務です。

なかでも意識しているのは、体験をどうつくるか。これに尽きると思っています。NOT A HOTELでも最初はどうしても、今までやってきたことやすでに知っていることをベースに考えてしまいがちだったのですが、そのままでは、世界中に自宅があるという新しい体験をつくることは難しい。今までの常識にとらわれずに考え、それを仕組みまで落とし込むためにどうすればよいかを常に考えています。

たとえばNOT A HOTELはいろいろな場所を買いたいというニーズも多いため、1年を12分割し1ピース30日のような形で購入。その日数を使ってさまざまな場所に泊まることができる仕組みにしました。

ただこういった仕様にすると、一般的なホテルと同じように考えても上手くいかない場面が多々生まれるわけです。たとえば予約をキャンセルするケース。一般的なホテルで宿泊数を減らしたいときは一度全部キャンセルしてやり直す必要があったり、キャンセル料が発生するケースも珍しくないと思うのですが、それが自身の家や拠点であれば、日数の変更などはお金もかけずに、かつ柔軟にしたいですよね。ですが、ただキャンセル料をなくしてしまうと、とりあえず日にちを抑えて直前にキャンセルすることも可能になってしまうので、公平性の観点から好ましくない。そういった課題に対し、バランスをみながら落とし所を決めるようにしています。

またそれらに取り組む際の優先順位付けは、「暮らし」という特性がとくに難しくしていると感じています。サービスづくりのセオリーだと、買い手(ゲスト)と売り手(オーナー)では売り手を重視した設計にするのですが、NOT A HOTELのサービスは、最初定石とは異なる“ゲスト向け”につくっていました。何か明確な根拠があってそうしたわけではなく、ゲストのほうが自分の体験としても馴染みがあったため、自然とそちらに寄ってしまっていたんですよね。

そんな状況で1年間ほど開発を進めていたのですが、チーム内に「エッジが効いていない」、「普通のサービスになってしまっている」というモヤモヤが大きくなっていきました。そこで改めて議論した結果、オーナー向けに絞り込んだサービスへとシフトすることに。それ以来、なにか迷ったときには、オーナーがどう思うのか、オーナーに提供したい体験は何なのかをいちばんに考えるようになりました。

ですが誰もオーナーという立場を経験したことはないので、オーナーでもある社長の濱渦さんをn=1として、ひたすらオーナーの気持ちを想像しながら進めるしかありません。完成して使ってもらってみたら想定していなかった要望などもたくさん出てくると思いますし、僕らの想像が大きく外れているかもしれない。もちろん楽しみもありますが、同じくらい怖さもあるというのが正直なところです(笑)

――最後に、これからCXOとして実現していきたいことについてお聞かせください。

良い言いかたではないかもしれないですが、NOT A HOTELはある種なくても良いものだと思っています。ですがなくても良いものをつくるのはとても楽しいですし、そういうものがあるからこそ、世の中が豊かになると思うんですよね。NOT A HOTELでは世界中に住む場所をつくることで、そういった楽しさを提供したい。もちろん世界中に土地を用意し、建物をつくらなければいけないですし、そのためには法律の問題など課題も山積みだと思いますが、世界中に家がある世の中って絶対楽しいはず。既成概念をこわして、これからも挑戦していきたいです。

――井上さん、ありがとうございました!

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MarkeZine(マーケジン)
2022/06/06 09:00 https://markezine.jp/article/detail/39144

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