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マーケターが知っておきたいBtoB企業広報の基礎知識

スタートアップの成功例から学ぶ、広報部の立ち上げ方【広報・マーケの連携法、外部支援の選び方も解説】

広報活動の外部支援サービスにはどんな種類があるのか?

 では、広報分野の外部支援サービスにはどんな種類があるのでしょうか? 支援のあり方は各PR会社やフリーランスにより様々で、BtoB/BtoC/特定の業界特化など得意領域も異なりますが、支援の種類は大きく2つのパターンに分かれます。

1.メディアアプローチ業務の委託

 これは主に、企業側が用意した情報(ネタ)をメディアにつないでもらう支援です。PR会社、フリーランス問わず、最も一般的な支援形式と言えます。また、その中でも企業側が用意したネタをメディアに提案するか、情報発信(ネタ)の企画まで支援するかで分かれます。プロの支援で素早く広報活動の幅を広げたり、担当者の負担を軽減したりできる一方、ノウハウを社内に蓄積しづらい面があります。

概要:メディアアプローチ部分を外注できる

メリット:初心者には難易度の高い業務を外注することで成果を上げやすい。業務効率化につながる

デメリット:適切な情報(ネタ)を自社で用意できない場合、別途、企画立案の支援も受ける必要がある。自社にノウハウが蓄積しにくい

2.広報担当者の育成支援

 「魚を渡すのではなく、魚の獲り方を教える」方式で広報担当者の育成を実施します。どこまで、どのように育成するのかは、支援を行う会社や個人によって大幅に異なると考えられます。育成なので、広報担当者の負担軽減にはなりませんが、自社にノウハウが蓄積でき将来的に自社だけで広報活動を完結することが可能となります。

概要:自社の広報担当者の育成を依頼できる

メリット:担当者がキャッチップした後は自社で業務を完結できる

デメリット:業務を委託する訳ではないので広報担当者のスキルなどにより結果が出るまでに時間がかかる

広報の外部支援を頼む際に気を付けるべきこと

 2つの委託方法について紹介しましたが、昔から企業の利用が多いのは1つ目のメディアアプローチの委託です。記者や編集者のもとには毎日何百通を超えるプレスリリースや売り込みメールが来ると言われており、まったく知名度のない会社の情報を目に留めてもらうのは至難の業です。

 また、メディアに会社の紹介や取材の打診を行う場合、会社とメディアの関係性ができているほどスムーズに進みやすく、すでに関係性が築けておりメディアの特徴もしっかり理解しているPR会社や個人を介して連絡することに意味があるのです。

 ただしメディアアプローチだけを委託する場合、自社で適切な情報発信(ネタの企画)ができる状態にあるのかどうかは考える必要があります。適切ではない情報(ネタ)をいくら送っても成果につながりません。また、企業にとってもメディアに取材されさえすれば、どんな載り方でも良いということはないはずです。

 一方、広報担当者の育成支援は、広報ノウハウが社内にない会社に合った課題解決法に見えます。ただ、広報担当者のスキルやキャッチアップ力によっては、成果の創出やノウハウの蓄積までに時間がかかることが予想されます。

 そのため、すでにメディアに売り込みたい情報があってスピーディーに成果を上げたい場合にはメディアアプローチの委託を、中長期的に自社の広報機能を強化したければ広報担当者の育成支援を、と目的に合わせて利用するサービスを選ぶと良いでしょう。

外部支援サービスを最大限活用するために最も気を付けるべき点とは?

 どのような外部支援サービスであれ、最大限有効活用するために最も重要なことはたった1つ。それは「自社の方針をしっかり持つ」ということです。

 たとえば何の方針もなくメディアアプローチの委託サービスを利用すると、とりあえずメディア露出を増やすだけの「その場しのぎの行動」に陥る危険が潜んでいます。メディアに取材されることは決して簡単なことではありません。メディア露出が目的になってしまうと、「自社が発信したい情報」を無視して「どうすれば取材されるだろう?」から逆算した行動になりがちなのです。

 広報活動の目的がはっきりすれば、必要な行動はおのずと見えてきます。広報活動は経営戦略そのものでもあるので、広報担当者が勝手に決めることはありえません。経営者と広報担当者が膝を詰めてしっかり話し合い、コンセンサスを得て活動を始める必要があります。最低でも以下の4つの情報については把握しておくべきでしょう。

【外部サービスの利用方針を決めるためのポイント】

・自社の広報目的は何か

(ブランディング、マーケティング、採用など、広報活動によって何を達成したいのか)

・自社で対応可能な範囲はどこまでか

(担当できる人材の数、スキルなど自社内でできることの整理)

・広報部のあり方を今後どうしていきたいのか

(外部支援を使い続けることを前提とするのかどうかなど)

・コストと期間はどこまで許容できるか

 もし「自社の広報活動の目的設定からよくわからない」という場合には、経営戦略を踏まえた広報戦略の立案、KPI/KGI設計から支援してもらえそうなPR会社や個人に交渉してみるのも手です。

 実は、要望を出すことによって柔軟な対応をしてくれる会社や個人も多いです。サービスメニューをそのまま鵜呑みにするのではなく、自社の状況を踏まえ、外部支援の種類や特徴を理解して望ましい支援を行ってもらえるように交渉することが有効です。

 最終的には、自社が目指す広報活動の形にたどり着くまで、どれほどのコストや期間を許容できるのかによって選択肢が決まります。

 今回は広報活動のスタート期における望ましい広報とマーケティング部門の連携方法、広報部立ち上げ時の適切な体制と外部支援サービスの種類、活用法について書かせていただきました。

 スタートアップの場合は特に、「売上への貢献」を目的に広報活動を開始する会社も多く、広報とマーケティング部門との連携は今後もますます重要な要素となっていくと考えられます。次回は、広報部の立ち上げを行う会社が初期に行うべき具体的な活動内容と広報、マーケティング部門が連携することで大きな成果を得ている企業事例をご紹介します。

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この記事の著者

松田 純子(マツダ ジュンコ)

リープフロッグ合同会社 CEO
 国内外のスタートアップ、中小企業など向けに広報部門立ち上げ支援コンサルティングを行う。伴走型、人材育成型で新人、独り広報の会社でも効率よく広報部門を立ち上げ、企業成長に資する広報活動が行えるよう支援。早稲田大学卒業後、大手求人広告でのコピーライターを経て、IT系メガベンチャー、博報堂系デジタル広告会社で広報業務に従事。経営戦略室マネジャーを経て2019年に起業。現在は、B2B領域を専門にスタートアップから東証一部上場企業まで幅広くクライアントを支援しながら...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2022/06/24 08:00 https://markezine.jp/article/detail/39180

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