ツイートの感情を判定するSMILEの仕組み
――SMILEの仕組みは、どのようになっているか教えてください。
武村:SMILEは、AWS上で作っています。ワークフローとして、AWS Step Functionsを使用し、データベースはAmazon Athena、感情分析はGoogle Natural Language APIを使用しています。これらの結果をソニー・ミュージックソリューションズさん内のTableauダッシュボードで結果が見られる仕組みです。分析をしたい時に、任意の期間で分析できるようにしています。
私はコストをかけるのであれば、その分リターンが得られないとダメだというポリシーを持っています。全体のアーキテクチャとして、サーバレスのサービスを中心にしているので、使わない時にはコストがかからず、維持費をとても安く抑えることができます。APIの利用料を含めても月額3万円ほどです。
――感情分析はどのようなロジックになっているのでしょうか。
村山:まず、検索キーワードに応じて収集したTwitterの口コミをポジティブな内容なのかネガティブな内容なのか判定します。さらにポジティブやネガティブの中でも重要度を、-0.9から0.9まで、0.1刻みで数値化してスコアリングしていきます。それにより、ポジティブなツイートの中でも、ポジティブ度が高いか低いかといったところを判断していきます。
武村:Google Natural Language APIは、キーワード単位のポジティブ/ネガティブの分析ができます。SMILEでは、これを利用してキーワードの出現回数に応じて重要度も判定しています。
このキーワードがポジティブなツイートの中でたくさん出てくるとなったら、重要度としてはとても高くなります。逆にネガティブなツイートの中でたくさん使われていたら、ネガティブな中での重要度が高いということです。こうして様々な条件を掛け合わせて、重要度のロジックを作っています。
さらに「人に近づく」ためのデータ活用を
――最後に、みなさんの今後の展望についてお聞かせください。
髙橋:音楽以外のジャンルでも、今までやってきたことをさらに加速し実証できる機会がありそうなので、今後も引き続きデータの統合をやっていきたいと考えています。
先日DACの方とお話をした時に、テレビのデータと掛け合わせて、オフィシャルサイトに来たお客様が、視聴率によってどんな購買行動をしているのかというのも見られるというのを聞きました。自社内のデータベースを整えるのも大事ですが、そうやって他のプラットフォームとつなげて拡張していくことも取り組みたいですね。
村山:弊社ではテレビのデータやサードパーティデータなど、自社で多数のデータを保有しています。そうしたデータを活用しながら、お客様とOne to Oneコミュニケーションを取れるようなマーケティング施策がどんどん広がっていけばいいなと思っています。
武村:弊社は自信を持てるメンバーがそろっているので、インフラはDACさんにお願いしつつ、僕らがおもしろいアプリや良いサービスを髙橋さんたちと一緒に作っていけたらと思っています。
髙橋:ソニーグループ全体の経営方針として「人に近づく」というのを掲げています。そのために、どうやってファンの人たちに近づき深く知るかというためには、やるべきことがたくさんあります。1つひとつクリアにしていくことで人の温度が感じられるデータを集め、事業に活かしていきたいと考えています。