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ユーザー視点のギフト選びで顧客エンゲージメントを強化。KDDIが選んだ「giftee Box」の強み

 SNSやメールを通じて手軽に贈れるデジタルギフトの市場は、昨今の直接会えない社会情勢の影響もあり拡大を続けている。企業も顧客に対して謝礼やキャンペーンギフトを贈る際にデジタルギフトを活用する例が増えてきた。従来のクーポン配布やポイント還元といった施策と何が異なるのか。顧客とのコミュニケーションの活性化におけるデジタルギフトが持つ可能性について、実際にギフティの法人向けサービス「giftee for Business」およびオリジナルプロダクトである「giftee Box」を導入しているKDDIの東怜子氏と、ギフティの篠塚大樹氏に伺った。

KDDIが子育て世代を応援する「子育てエールプログラム」

MarkeZine編集部(以下、MZ):まず、お二人の業務のミッションも含めて、簡単に自己紹介をお願いします。

KDDI 東(以下、東):KDDIのアライアンスビジネス企画部 ビジネス推進グループのリーダーをしております。私は新卒でKDDIに入社し、直近10年ほどはau・UQ mobileのコンシューマー領域のマーケティングに携わってきました。

 当部署のミッションは、au・UQ mobileのお客様向けに外部パートナーと連携しながら魅力的なサービスを提供することです。その中で、「子育てエールプログラム」という企画を立ち上げて運営しています。

KDDI株式会社 パーソナル事業本部パーソナル企画統括本部アライアンスビジネス企画部ビジネス推進Gグループリーダー 東怜子氏
KDDI株式会社 パーソナル事業本部 パーソナル企画統括本部 アライアンスビジネス企画部 ビジネス推進Gグループリーダー 東 怜子氏

ギフティ 篠塚(以下、篠塚):弊社はデジタルギフトの発行から流通まで一気通貫で提供する「eギフトプラットフォーム」を展開しており、主要サービス「giftee」は個人間でギフトを贈り合うことができます。

 一方で、企業のプロモーションやキャンペーンなど、マーケティング施策をギフトでお手伝いする「giftee for Business」というサービスも展開しており、私はそのマネージャーをしております。今回KDDI様に導入いただいた「giftee Box」にはプロダクトマネージャーとして携わってきました。

株式会社ギフティ Business Development Div. Manager 篠塚 大樹氏
株式会社ギフティ Business Development Div. Manager 篠塚 大樹氏

MZ:まず東さんに伺いたいのですが、「子育てエールプログラム」とはどのようなサービスなのでしょうか? サービスの背景・狙いについてもお聞かせください。

東:子育てエールプログラム」は、昨年の10月に開始したau・UQ mobileのお客様向けのサービスです。お客様のなかでも、0〜12歳のお子様がいる「子育て世帯」を応援する趣旨で、子育てを軸とした特典や情報提供をメインにしております。

 お子様がいらっしゃる方や世帯というセグメントでの接点がないため、au・UQ mobileユーザーでいらっしゃるにもかかわらずその方々との継続的な接点を持てないという課題がありました。

 これを解消するため、子育て世帯に特化した明確な特典を提供し、定期的なタッチポイントを作ることでお客様のエンゲージメントを強化したい、さらに引き続きのKDDIサービスのご利用につながっていけばといった思いで、本サービスを立ち上げました。

MZ:その中で、デジタルギフト「giftee Box」をどのように活用されているのでしょうか?

東:子育てエールプログラムの特典は主に3点です。まず、利用料は月額110円(税込み)なのですが、毎月100Pontaポイント進呈されます。次に「毎月変わる抽選特典」ではコンビニのアイスやロールケーキ、キッザニア入場券など家族みんなで楽しめる特典が当たります。実はこの裏側でもギフティ様の抽選のシステムを使わせていただいています。

 3つ目に、1年に一度会員の方々全員に「デジタルカタログギフト」をお贈りするという特典を用意しています。我々から配信するメール経由でデジタルカタログのURLを送付し、お客様ご自身で好きな商品を選んでいただくという特典です。このデジタルカタログギフトにおいて、「giftee Box」を活用しています。

子育てエールプログラム | au

ギフトだからこそ強化できる顧客とのつながり

MZ:顧客への特典であれば、ポイント還元や金券など様々な形があると思いますが、デジタルギフトという形を採用され、かつ「giftee Box」を選ばれた背景はなんでしょうか。

東:年に一度必ずもらえる特典を何にするかは重要なポイントなので、ユーザーアンケートを行うなどしてかなり慎重に検討していました。その中で3つの課題にぶつかりました。

 まず、お客様のニーズは多様であるということ。アンケートからもわかったことですが、子育て世帯と一言で言っても「0歳児の母親」と「11歳児の父親」が求めるものはかなり異なります。だからといってポイントや金券を差し上げるだけでは「子育てエールプログラム」の色がない。幅広いニーズを持ったお客様が受け取ってちょっとほっとするような、「au・UQ mobileっていいな」と思っていただけるような特典は何か、かなり悩みました。

 また、全国にいらっしゃるお客様に、地域性の点で不公平感を生みたくない思いもありました。たとえば子育て世帯にはテーマパークの優待券という特典は一見よさそうですが、テーマパークの近くに在住されている人にしか喜ばれない懸念もあります。さらに、何の特典を贈るにしても0からシステム構築すると社内コストがかかるという問題もありました。

 これら3つの課題をすべて解消できるのがデジタルギフトであり、「giftee Box」だったというわけです。幅広いニーズを満たす豊富な商品と、全国どこにいても使えるクーポンサービスであること。導入も手軽だった点が、採用のポイントでした。

 ギフトであることで「お客様のことを考えてご用意しました」という想いが伝わるので、お客様とのある種のコミュニケーションができている感覚はありますね。

MZ:顧客接点を増やし、お客様のエンゲージメントを高めるという目的に、デジタルギフトおよび「giftee Box」がふさわしかったのですね。

「データを次に活かせる」ギフトマーケティングの最先端

MZ:では、「giftee Box」とはどのようなプロダクトであるか、篠塚さんから詳しく伺えますでしょうか?

篠塚:giftee Box」は、約500種類のラインアップの中から好きな商品を選べるデジタルギフトです。

 従来のカタログギフトと異なるのが、たとえば「giftee Box」1,000円分を受け取ったお客様は、その中で複数のギフトを組み合わせて選択できる点です。お客様の嗜好やタイミングにより柔軟に合わせられる仕組みになっています。

篠塚:ギフトを配布するようなキャンペーン施策においては、その企業のブランドに対してよりポジティブな印象を持っていただくことが重要です。お客様の満足度を高めてブランド評価を高めるためにも、幅広いニーズを満たせる「giftee Box」の豊富な商品ラインアップが鍵になっていると思います。

 また、従来のインセンティブ施策との大きな違いが、お客様がインセンティブを受け取った後の利用実績を分析できる点です。たとえばインセンティブ施策としてよく使われる「金券」がありますが、金券はどうしても渡しっぱなしになってしまって、本当に喜ばれたのか、その金券がどう使われたのかまで知ることはできないですよね。

 「giftee Box」では、どういった属性のお客様がどの商品をどれくらいの割合で選んでいるのかといった定量データを開示しています。このデータ分析ができることで、たとえばKDDIさんであれば「毎月の特典にこの商品を増やしてみよう」といった判断ができるなど、次の施策に活かすことができます。このように、ギフトを使ったマーケティングの中でも、データ分析した結果を反映するサイクルが回せるのが強みだと思います。

「giftee Box」で取得できるデータイメージ(※レポートはオプションメニュー)

MZ:お客様が「giftee Box」を受け取ったあとに属性や交換商品などの情報がわかるのはいいですね。導入した企業が直接システム上でデータを確認できるのですか?

篠塚:はい。管理画面上でご確認いただけます。もちろん、特定の個人を識別しない個人情報に配慮したデータ形式になっていますので、お客様にはご安心いただけつつ、マーケティングにも活かせるデータを提供しています。

法人利用ならではのニーズにも対応

MZ:実際に子育てエールプログラムにおいて「giftee Box」の活用を進めるにあたって、難しかったことや意外と簡単だったことなど、率直な感想はいかがですか?

東:毎月の抽選特典として元々ギフティさんのデジタルギフトを活用させていただいていたこともありますが、「giftee Box」は利用にあたって特別なシステムが必要なく、工数もほとんどかからなかったので、かなりスムーズにいきました。

 取り組みを進めて行く中で議論になったのは、デフォルトの「giftee Box」のラインアップにある他社さんの「ポイント」でした。当社はPontaポイントを当社利用に応じて進呈しているので、そういったPontaポイント以外のポイントサービスは除いたオリジナルの内容に変えていただきました。非常に融通が利いてありがたかったです。

篠塚:今回のご要望のように、施策の目的やコンセプトによっては、元のラインアップだと本来の訴求と少しずれてしまう、あるいは不都合がある場合もあります。我々も多種多様なブランドを扱う中で、そういった企業様からのニーズは当初から想定しておりました。そんなご要望にもお応えができるよう、柔軟に「giftee Box」のプロダクト自体を設計しているので、ご安心いただけたらと思います。

“主観的な特典”から“お客様視点の特典”へ

MZ:導入1年目の現時点で、当初の狙いに対する成果や予想外の気づきは何かありましたか?

東:子育て世帯のターゲット層に喜んでいただくという当初の狙いは想定通り達成できたかと思います。お客様からの反応としても、「こんなのいらない」というネガティブな声はまったくなく、「お得でうれしい!」といった声が多かったですね。

 気づきで言うと、篠塚さんもおっしゃったように「giftee Box」のデータを毎月の特典にも活かせる点です。まだまだこれからの取り組みにはなりますが、これまでの主観的な特典選びから脱却して、よりお客様視点で特典をお届けできるようになるのかなと思います。

MZ:では、今後の事業の展望と、そのなかで「giftee Box」をどのように活用していきたいかをお聞かせください。

東:0~12歳という子育て世帯のニーズは幅広いものの、「子育てエールプログラム」というからには、お子様もしくは親世代に喜んでいただける子育て目線の特典を引き続き模索していきます。

 また、お子様がいらっしゃるお客様は、おじいちゃん・おばあちゃんも含めた3世代の中心になっていることが多いです。子どもだけではなく、家族みんなに喜んでもらえる特典へと今後視野を広げて考えていくと、より満足度も上がるのではと考えています。それはつまり特典のバリエーションを増やしていくことだと思うので、「giftee Box」と連携しながら何かできたらと思っています。

ギフトマーケティングをより温かみのあるものへ

MZ:そんなKDDI様の想いを受けて、ギフティ様は今後どのようにサポートを行っていかれますか? サービスアップデートの方向性など、事業の展望とあわせてお聞かせください。

篠塚:「giftee Box」のリリースから約1年経ち、1,000件以上の企業様の施策に導入いただき、配布数は300万件ほどになりました。その中で、お手伝いできることがもっとあるなと感じています。

 最近は「giftee Box」のラインアップのうち、カテゴリーを絞ったシリーズの提供を始めました。たとえば「giftee Cafe Box」というスターバックスやドトールなど様々なカフェで使えるチケットに絞ったもの。これは企業が営業担当者への福利厚生で活用したり、セミナー来場者へのお礼で渡したりするケースが多いです。カテゴリーを絞ることで、シーンに合わせた活用がしやすくなるわけです。先ほどの東さんのお話に近いもので言えば「giftee Baby Box」「giftee Family Box」といったシリーズも企画中です。

篠塚:デジタルギフトのマーケットが広がってきて、気軽にギフトを贈れるようになった分、企業の取り組みでは「ばらまき」になってしまうケースも散見されます。しかし本来個人間でギフトを贈り合う時は、相手やシーンに合ったものを選ぶはず。企業がマーケティングでギフトを使う場合も、きっと人と人とのやりとりではあるので、相手を思ったコミュニケーションであるほうがよいと思っています。そういった意味でも、カテゴリーに特化したシリーズはやっていきたいですね。

 それから、各企業様オリジナルのBoxについては、「これは子育てエールプログラムで選定しています」ということがもっとお客様に伝わるように、フォーマットのカスタマイズの要素なども、今後はご用意をさせていただきたいなと思います。

MZ:「giftee Box」を活用したギフトマーケティングの可能性は、これからも広がっていきそうですね。ありがとうございました。

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この記事の著者

岡田 果子(オカダ カコ)

IT系編集者、ライター。趣味・実用書の編集を経てWebメディアへ。その後キャリアインタビューなどのライティング業務を開始。執筆可能ジャンルは、開発手法・組織、プロダクト作り、教育ICT、その他ビジネス。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2022/08/02 18:14 https://markezine.jp/article/detail/39393