趣味として嗜む「情報収集」 比較検討で調べ倒す徹底的な情報感度
次に、仮想通貨保有者がどのようなメディアから影響を受けているのかを探っていきます(図表4)。

図表4 仮想通貨保有者の情報収集方法(仮想通貨保有者の特徴的な項目をハイライト表示)(タップで画像拡大)
仮想通貨保有者の興味関心は、「資産運用・投資」「ビジネス・起業」が全体よりも高く、投資や起業への興味関心が高いことがわかります。また、「IT・テクノロジー」「PC・家電」といった項目が高いことも特徴的であり、先端技術や電子機器への関心を強く持っていることがわかります。
接触・信頼度の高い情報媒体を示すメディア価値観では「価格比較サイト・情報サイト」「メーカーサイト・ブランドサイト」「口コミサイト」が全体よりも高く、様々なインターネット上のメディアを比較検討し情報収集する傾向がありそうです。また、普段利用している情報アプリでは「SmartNews」「Yahoo!ニュース」「Yahoo!ファイナンス」が全体よりも高いことから、金融系の情報を中心としたトピックへの感度が高いと考えられます。利用しているSNSアプリでは「Twitter」の利用率が高く、SNSの利用目的では「ニュースやトレンド、新しい情報を収集する」「気になる情報を検索する」などが特徴的であり、情報収集を目的としたSNS利用が把握できます。
この積極的な情報収集行動の背景として、「商品の出所や材料などの情報を調べるのが好きだ」「新商品が出ると情報をチェックせずにはいられない」などの情報収集を重視する価値観が高く、調べること自体を楽しんでいることが考えられます。
無駄金は出さない投資思考 仮想通貨保有者の人となりとは
最後に、消費行動・価値観のデータを通じて、仮想通貨保有者の投資・消費行動と背景にある価値観を明らかにしていきます(図表5)。

図表5 仮想通貨保有者の投資・消費行動(仮想通貨保有者の特徴的な項目をハイライト表示)(タップで画像拡大)
まず、金融資産・不動産資産を確認すると、「国内株式」「投資信託」「NISA」「海外株式」が全体よりも非常に高く、様々な金融資産を保有し、積極的な資産運用を行っていることが確認できます。また、1ヵ月に1回以上の行動として、「自己啓発」「習い事」が高く、資産運用だけでなく自己投資を積極的に行う傾向が強いこともわかります。この行動には、「お金は貯蓄するより投資するほうが有効だ」「自らを磨くための投資は必要だと思う」といった資産運用・自己投資を重要視する価値観が根底に存在しています。
利用している金融会社を確認すると、銀行は「楽天銀行」が4割を占めており、インターネットバンクを中心とした銀行口座の利用傾向が強く、また、利用している証券会社では、「マネックス証券」「LINE証券」の利用割合も高いことから、仮想通貨取引に使える口座の利用が盛んであることがわかります。そして、銀行・証券会社ともに、楽天系サービスが最も利用されていることから、楽天経済圏ユーザーの割合が高く、ポイント獲得やコストパフォーマンスといったキーワードに敏感な層が集まっていると考えられます。
趣味では、「据置型ゲーム」「動画視聴」のポイントが高く、デジタル家電では「Nintendo Swich」「プレイステーション」が高いことから、ゲームを中心としたデジタル機器を用いた趣味を持っていることが確認できます。この行動は「IT・テクノロジー」「PC・家電」への興味が高いことが影響していると考えられます。
以上のデータから、仮想通貨保有者は資産形成や自己投資を重要視しているパーソナリティが確認できました。これに加えて、先進性のある物への興味関心が高いことが、仮想通貨の保有に繋がったと考えられます。一見、活発的な消費行動をするように見える仮想通貨保有者ですが、情報収集を積極的に行うことや楽天経済圏ユーザーの層が厚いことから、自分の納得したコストパフォーマンスの良い物を利用する傾向が強い様子が読み解けます。