選択だけの行動が、クリエイティビティを阻害する
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たしかに、時々気持ち悪くなりますよね。流通している情報量が多くて。
小西
最近の情報の増え方や多さって、ここ1~2年で本当に加速しましたよね。どんどん細分化されて、広がって、すべてを把握するなんて絶対無理みたいな。人間が処理できる限界を超えてしまって、この先どうなるんだろうと思います。
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「1週間のTV番組全部録画できる装置があります」って言われても、メール書かなきゃ、ネットもやらなきゃって思ったら、選択肢ばかり増えて消化する時間が足りないですよね。
小西
あまりにも情報量が増えていって、ピックアップに慣れてしまうと、人はクリエイティブなモノからインスパイアされる時間がなくなって、選択肢の中から選ぶだけの消費行動になってしまうんじゃないかと心配しています。
そうなると面白くないなぁって感じるんです。選ぶことだけに時間が費やされる時代は、新しいものが創られるのを阻害していくような気がします。
例えば、二次的に情報を右から左に受け渡すばかりで、新たに創造することが少なくなっちゃうんじゃないか、という不安みたいな。世の中で無数に発信される情報がGoogleのような検索システムで選ばれて、それを「見て、伝えて、また次を見て、伝えて…」のように延々と繰り返すだけのような、自分の感情とかを挟まない感じが怖いですね。
「選択のスピードと効率」の追求一辺倒になると、情報をひたすらアップロードしないといけない強迫みたいになってしまって。「時間がかかるけど、価値がある」といったものがうまれにくくなるんじゃないかと、思うんですよね。
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選択するだけの世の中には成らないとは思いますけどね。「そうだ、京都、いこう。」じゃないけど、直感みたいな行動や衝動がなくなるとは思えない。
小西
そうですね、結局人間なんで100%選択行動だけにはならないんでしょうね。そうじゃないと、つまらないし。それを願います。
前編では、最先端のコピーライターから見る、今の時代に求められるクリエイティブ能力について語っていただきました。前編から読みたい方はこちらからどうぞ!