見える数値だけがデータではない
フォロワー数やバズをデータとして追いがちな理由は、大きく2つ考えられます。
- 数値が用意されているから
- データ=数値という固定概念があるから
SNSではインプレッション数やフォロワー数、エンゲージメント数、リツイート数などの数値が目につきやすいがために、つい、それを追いたくなってしまうのです。
また、データ=数値と思われがちなのですが、「データ」を広辞苑で調べてみると、数値だけがデータではないことがわかります。
(1)立論・計算の基礎となる、既知のあるいは認容された事実・数値。資料。与件。「実験―」
(2)コンピューターで処理する情報。
出典:「データ」広辞苑無料検索
当然、文字や写真で構成されている「UGC」もデータとして捉えることができ、分析の対象にもなります。
とはいえ、「数値ではないデータをどのように分析すればいいかわからない」という方も多いでしょう。そこでおすすめしたいのが、「定量分析」「定性分析」と分けて取り組むことです。
「定量分析」は量のデータ、すなわち数値を分析するものです。
たとえば、「ある高校の数学のテストにおいて、点数の推移をAさんと学年の平均で比較し、テストの結果を見極める」場合などに使われます。数値という明確な指標を得ることができ、比較的誰でも同じ結論を導きやすい分析となります。
一方の「定性分析」は、質のデータを分析するものです。数値では表現しきれない心理的な情報を読み解く分析になるため、分析結果が主観的で曖昧になりがちではあります。しかし、定量分析の内容を追求したり、物事の背景を深掘りしたりする時には、必須の分析となります。
たとえば「Aさんが数学の文章題の回答を途中で間違えてしまった」という事実から、なぜ途中で間違えてしまったのかを推測することが、定性分析になります。

実は身近にある分析
UGC生成を促すためのデータ分析では、定性分析から始めることを推奨します。理由は、下記の3点です。
- UGCを数値化した量のデータは、外部ツールを導入する必要があり敷居が高い
- 誰でもいつでも始められる
- 定量データである数値だけをなぞっていても、物事の背景は掴めない
「定性分析」の手法としては、エゴサーチが取り掛かりやすいでしょう。エゴサーチは多くのSNS担当者が既にやられているでしょうが、次の2つのポイントを意識した上で、分析に挑戦してみてください。
- 着眼点を多く持つこと
- そのUGCが生まれた背景を考えること
「着眼点」とは、UGCを創出する切り口や文脈のことです。たとえば、「カーシェアリングを利用しているが、移動ではなくテレワークの場所として使っている」というUGCを発見すれば、新たなUGCの切り口を得たことになります。
これまでになかった発想を得たことで、SNS投稿のきっかけにしたり、新しいプロモーションの企画に活かしたりすることが可能でしょう。
「なぜこのUGCが生まれたのか?」と、背景を深掘りすることも重要です。我々は言葉を口にする前に、何かを感じ、たくさんの思考を巡らせた上で発言しています。何気ないUGCだったとしても、その投稿が生まれた背景には、たくさんの情報が潜んでいます。
- なぜこの人が?
- なぜこの時間に?
- なぜこの文脈で?
- なぜこの口調で?
→こうしたUGCを投稿したのか?
このように、「なぜ」を突き詰めていくことで、UGC創出を促すアイディアを得たり、顧客心理の理解を深めたりすることができます。
先ほど「エゴサーチは多くのSNS担当者が既にやられていることでしょう」と書いたように、読者の皆さんの多くは、既にSNS分析の入り口に立っています。普段は無意識に行っているエゴサーチでも、「これは分析だ」と意識することで、得られる情報量は爆発的に増えます。分析は、限られた人にしかできない、とっつきにくくて難しいものではありません。
皆さんが普段何気なく行っていることの中にも、分析の第一歩や入り口は潜んでいることに、まずは意識的になってみてください。
次回は、「なぜUGCが売上につながるのか?」を解説していきます。