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半年で50本、指名検索が2倍!エン・ジャパン×ノバセルで行った、テレビCMクリエイティブのPDCA

 エン・ジャパンは注力事業である「エンゲージ」の認知拡大のため、運用型テレビCM「ノバセル」を採用した。テレビCM自体は以前より実施をしていたが、ノバセルによる新クリエイティブの放映によって指名検索が2倍になったという。本記事では、同社のブランド企画室マネージャーである日野氏に「ノバセル」がもたらしたクリエイティブの変化と、具体的な成果について伺った。

エン・ジャパンの注力事業である「エンゲージ」とは

MarkeZine編集部(以下、MZ):まず、ご経歴と現職の業務について教えていただけますでしょうか。

日野:エン・ジャパンの日野と申します。私は新卒でエン・ジャパンに入社し、最初の3年間はコピーライターとして求人広告制作に従事し、2016年に現在のブランド企画室に異動しました。エン転職をはじめとした各種サービスやコーポレートのブランド価値向上をミッションとし、テレビCM・OOHなどの企画制作、リサーチなどを担当しています。また、インハウスのクリエイティブチームのマネジメントも担っています。

MZ:エンゲージとは、どのようなサービスなのでしょうか。

日野:エンゲージは、全国の社員・アルバイト募集求人を掲載している求人メディアです。社員・アルバイト総合型サイトとしては、国内No.1の求人掲載企業数を誇ります。

着実に効果の出る認知施策として、運用型テレビCMに注目

MZ:今回、運用型テレビCMを検討されたきっかけを教えてください。

日野:エンゲージは、弊社が2022年に発表した中期経営計画において、HRテック領域の新ビジネスとして成長させていく投資事業に位置付けられています。当社の今後を担う事業として、目標もかなり高く設定しています。それだけに、マーケティングでも確実な成果を求められています。

 デジタル広告にも積極的に投資をしていますが、それだけでは獲得量に限界があります。着実なビジネス成長を考える上で、テレビCMは必須だと考えています。認知獲得に優れたテレビCMで土台を作りながら、ユーザーを増やしていく戦略です。

 テレビCMの中で確度が高い方法を探ると、クリエイティブに対してPDCAを回しながら着実に改善していける、運用型テレビCMが選択肢として挙がってきたのです。

エン・ジャパン株式会社 ブランド企画室 クリエイティブグループ マネージャー 日野将志氏
エン・ジャパン株式会社 ブランド企画室
クリエイティブグループ マネージャー 日野将志氏

MZ:たくさんのテレビCMを行っているエン・ジャパンさんですが、運用型テレビCMは今回が初めてだと伺っています。社内では戸惑いはありませんでしたか。

日野:当社もかなりデジタル広告への投資が増えています。「PDCAを回すのが普通」「効果がデータで見られる方が普通」という考えが浸透してきており、社内での反発はありませんでした。むしろフロントに立つ私たちの方が、今までと違うやり方に対して緊張感を持っていました。

MZ:ノバセルさんを選ばれたポイントを教えてください。

日野:運用型テレビCMといえば「ノバセルさんは第一人者」という認識がありました。

 当社の社外取締役からの紹介や、ノバセル代表である田部さんのセミナーに参加したこと、タクシー広告でよく見かけていたことなどもあり、我々のマインドシェアにおいてノバセルさんの比率が高かったですね。

指名検索は約2倍!最強コンビネーションを発掘せよ

MZ:実際にCMを運用されてみていかがですか。

日野:今まで説明できなかったものが説明できるようになっています。今まで、テレビCMは費用対効果について関係者に説明がしづらく、ブラックボックスな印象がありました。「このようなPDCAを回している」と報告できること、効果が数字で認識できることは非常に大きなメリットです。

MZ:どういった成果に結びついたのでしょうか。

日野:定量的な成果としては、CM放映エリアで、認知率がほぼゼロから平均で20ポイント増加しました。指名検索もCM実施前後比較で約2倍に上昇。会員数も、2022年6月時点で昨対比約2倍となるなど、各指標で明確な上昇を実感しています。テレビCMが確実にビジネスへ貢献をしてくれていますね。

MZ:結果を残せた秘訣はどこにありますか。

日野:まず訴求軸を作って、そのあとにクリエイティブの最強コンビネーションを発掘していったところです。

 制作したCMはこの半年で約50本。短期間でこれだけのクリエイティブを作りPDCAを回すこと自体が、まず初めてでした。今までなら半年で平均して2、3本程度なので、プロセスもガラッと変わりましたね。

半年でCMクリエイティブが約50本制作できる、PDCAのカラクリ

MZ:CMクリエイティブのPDCAはどのように回していったのでしょうか。

日野:最初に、ノバセルさんへターゲットと目的をざっくりお伝えしました。ノバセルさん側でも顧客インタビューや事前のリサーチをしていただき、そこに我々が保有する求職者の動向データを加えて、訴求軸の仮説をいくつか立てていきました。

 次にコンセプト調査をしてどんな訴求軸がいいかを調べ、加えて有力な方向性を動画コンテに仕立てて、再度調査を行いました。方向性が見えてきた段階で、初めてテレビCMの制作に入ります。

 クリエイティブ制作に入る前までに、「こんなにいろいろと調査するのか」と思いましたね。ですから約50本制作しても手当たり次第だったわけではなく、調査を重ねて着実に石橋を叩きながら渡っており、非常にブラッシュアップされています。 

MZ:そこからCMの放映を行っていったのですね。

日野:はい。CMは複数本作成し、最初は地方のテストエリアで放映。オンエア後の反応を検証します。そこから効果の良い「勝ちクリエイティブ」とともに、出てきた仮説をもとにブラッシュアップします。ある程度の確証が持てたタイミングで、主要都市で放映。徐々にステップアップしていく流れです。

MZ:打ち合わせは、どのくらいの頻度で行っているのでしょうか。

日野:ハイスピードでテストを回しているので、毎週、定例会を設けています。

 CM放映開始1週間後ぐらいのタイミングでおおよその「勝ちクリエイティブ」が見えてくるので、それを見ながら次の改善策を議論しています。また、その場で編集しながら改善することもあります。

 他のパートナーですとやり取りは主にメールで、回答の持ち帰りなどもあって結論が出るまでに1~2週間を要することもままありました。しかし、ノバセルさんとは定例でお話をしながらその場で疑問が解決でき、チャットツールでクリエイティブメンバーの方が直接回答くださることなどもあり、非常にスピード感がありました。

 ノバセルさんはいい意味で分業制。プロフェッショナルな部分は専門の方と直接やり取りできるのも魅力です。

データという共通言語を使い、対等な関係を構築

MZ:どのようにクリエイティブをブラッシュアップしたのでしょうか。

日野:コアメッセージが確定しているので、変えるべきところとそうでないところがすでに明確になっています。具体的に調整する箇所は、言葉や音、画、構成です。

 従来型のCMクリエイティブでは、良い結果が出ても明確な理由が特定できず、次の制作へ活かしきれなかったケースもありました。ノバセルさんとご一緒してからは、制作するごとにクリエイティブの知見が積み重なっていく感覚があります。

MZ:制作過程の変化はありましたか。

日野:一番は、プロジェクトのクリエイティブプロセスに関わるすべてのメンバーが、とてもフラットな関係で制作できている実感があることです。私たちだけでなく、ノバセルの営業さんも制作や編集の現場に意見を述べてくれます。

 ノバセルさんとはお互いに、勘やフィーリングではなくデータや効果という、目に見える共通言語ありきの議論になるので、非常に建設的に話せます。

MZ:データが共通言語なのですね。

日野:そうです。主観ではなくデータドリブンで、確からしい数字によって決定したり仮説を立てたりしているので、意思決定に対する不安がだいぶ減りました。

 ノバセルさんであっても、オンエア前に立てた「この素材が伸びそう」という仮説が、放映後に違った結果となることもあります。しかし、事実をデータでしっかり捉え、次のクリエイティブに活かすことができるのは強い武器ですね。こうした認識を当社だけでなく、ノバセルさん側も、クリエイティブの皆さんも、同じ目線を持てるのが良いですね。

MZ:やはり数字の説得力には敵いませんね。

日野:はい。ノバセルさんは、右脳と左脳のバランスを意識していると思います。

 クリエイティブの皆さんも「ノバセルで過去に実施したクリエイティブの実績から考えると、こういう方向だと成果が出やすいですよ」「この業種ではこの表現の反応が良かったので、こういう見せ方はどうでしょう」と、データに紐づいた経験からのアドバイスをくださるので、非常に納得度が高いですね。

 ノバセルさんと一緒にやって「テレビCMはきちんとやればきちんと効果が出る」とデータでわかったことが非常に良かったですね。

さらなる改善で成果につなげる

MZ:今後の展開を教えてください。

日野:ノバセルさんとご一緒して、現時点ですでに成果が上がってきています。しかし、いろいろ検証する中で、まだ改善できることも多くあります。次にやるべきことがたくさん見えているのは、大きな収穫でした。

 またノバセルさんが新しくリリースされた、テレビCMの指名検索への影響スコアが見える「ノバセルトレンド」というSaaSサービスがあります。それを使って人材業界をチェックすると、業界内では高い成果を出せているのですが、異業種を含めて見ると、まだまだ伸びる余地を感じました。そこは頑張りどころですね。

 テレビCMはコストが非常に高く、不確定要素が高い施策です。経営層含めた関係者への説明がしやすくなる点においても、ノバセルさんを使う意味があります。引き続き検証しながら、中長期でビジネス成長の土台になるようなテレビCMのあり方を研究していきたいです。

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この記事の著者

那波 りよ(ナナミ リヨ)

フリーライター。塾講師・実務翻訳家・広告代理店勤務を経てフリーランスに。 取材・インタビュー記事を中心に関西で活動中。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

【AD】本記事の内容は記事掲載開始時点のものです 企画・制作 株式会社翔泳社

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MarkeZine(マーケジン)
2022/09/30 11:30 https://markezine.jp/article/detail/40037