成功するインターナルブランディング4つのポイント
BtoB企業のブランディングにおいては、インターナルブランディングが重要だと板倉氏は語る。
「BtoB企業様の場合、『従業員こそがブランド』です。そのため、まずは従業員をしっかり味方につけるインターナルブランディングこそがビジネスの成功につながると考えています」(板倉氏)
ES(従業員満足度)が向上すると、生産性などプロセスが向上し、品質や顧客満足の向上ひいては売上・利益アップが実現し、職場環境がより良くなり、さらにESが上がる、と良いサイクルが回る。それが結果的に対外的にも良い企業イメージとなって反映されるのだ。
では、成功につながるインターナルブランディングとは何か? 板倉氏は4つのポイントを提示する。
1つ目のポイントが、目的を設定する・効果を理解することだ。板倉氏は「当たり前だと思うかもしれない」と前置きをした上で、それでも目的よりも手段を重視してしまう企業も多いと指摘する。この点を念頭に置いて考えたいのが、行動を促す仕組みだ。板倉氏はスタンフォード大学のBJフォッグ氏が提唱する理論を用いて説明する。
「理想的な行動は、『モチベーション』と『行動するための能力』、『行動を起こすトリガー』のかけ合わせで生まれます。インターナルブランディングにおいては、モチベーションを上げるためのエモーショナルな施策と、トリガーとなるファンクショナルな施策が必要です」(板倉氏)
具体的な施策で考えてみるとわかりやすい。たとえば、社長の年頭挨拶やメッセージといった講話は「認知」効果は高いが、「理解」「共感」「行動」などの効果は時間経過と共に薄れてしまう。一方、会社のヒストリーや社員エピソード、ビジョンなどを映像化する施策では、音楽やナレーションを活用することで世界観や空気感を伝えやすい。「認知」には弱いが、「理解」「共感」に効果が高い施策と言える。
このように、施策によって期待できる効果は異なるため、目的と効果を踏まえた設計が求められる。
また、カスタマージャーニーマップの従業員版であるエンプロイージャーニーマップの作成も有効だ。従業員のペルソナを作成し、喚起したい感情や達成したい目的を整理しながら施策を検討していく。既にインターナルブランディングを実施している企業も、マップを作ることで取り組みの抜けがないかを確認できる。
社員の巻き込み方は3パターン
2つ目のポイントがプロセスに社員を巻き込むことだ。インターナルブランディングは経営と現場をつなぐ取り組みである。経営サイドだけでなく、社員を巻き込んだ施策開発が大切だ。板倉氏が推奨する巻き込み方は3通りある。
まず、プロジェクトチームにターゲット社員を参画させること。施策の検討から開発まで一緒に進めていくパターンだ。そこまで現場やターゲット社員の時間を割けない場合は、インタビュー対象者として巻き込む方法がある。「普段の仕事で不満に思うこと」や「検討中の施策に関する意見」などに耳を傾け、現場のニーズを紐解いて施策を考える。そして、ターゲット社員を一堂に集めてワークショップを行う方法も1つの手だ。実施後にフィードバックを行うことで、プロジェクトへの参加意識を持たせることができる。
ある大手製薬会社では、コアバリューを浸透させるため、ターゲットのペルソナを設定し、インタビューを実施。その上で、社内に伝わるための新しいメッセージと、社内向けキャラクターを開発した。
このキャラクターは社内資料や、付箋などグッズの展開、社内表彰への反映など、社内で目に触れられるようにした。キャラクター名も従業員の公募によって決めており、企業内で愛されるキャラクターに成長している。アンケートの結果、75%の社員がメッセージ・キャラクターを通じて自身の意識や行動に変化があったと回答するなど、効果が出ている。