各分野のバージョンアップが連動し始め、メディア露出が急増
3つ目は、運営のバージョンアップだ。
店舗で消費者が買い物を楽しめる環境を安定して提供するため、オペレーションを強化した。具体的には、それまで店舗によるばらつきが大きかった部分を統一していった。
「200店舗を超えてきて、よりしっかりと仕組みを作らないといけないと感じています。店舗づくり、VMD(ビジュアルマーチャンダイジング)も含め、いかに効率よく安定した運営ができるかを意識しました。これまではカテゴリーの展開場所が店舗ごとに違ったり、それによって売れ筋もバラバラになったりしていたのですが、今ではこれも統一され、安定した店舗運営ができるようになってきています」(肥後氏)
SNSを活用したプロモーションも3COINSの強みになっている。現在、公式Instagramでフォロワーが157万人。それに加え、「ショップインフルエンサー」と呼ばれるスタッフがブランドを背負ってそれぞれ情報発信をしている。これはパル全体で取り組んでいる施策だ。3COINSのショップインフルエンサー約60名の総フォロワーは約38万人に上る。
ショップインフルエンサーが注目を集めるためには、発信できるネタが必要だ。そこについては、前に述べた新商品やコラボなどの施策を次々に出していくことでカバーしている。
このようにして情報発信できるネタを作り続け、それを定期的にショップインフルエンサーが拡散することで認知が広がり、さらには店舗を利用した消費者が商品を拡散することも増える。すると今度はそれらのSNS発信を見たメディアが取り上げていく。この好循環が、3COINSでは起こり始めているという。
「テレビで取り上げていただく機会は増えました。取り上げていただいた番組はこの半年間で約120本です。さらに、パルのアプリの中で現状175万人が3COINSをフォローしてくださっています。コロナ禍でのおうち需要で、世の中の需要としても雑貨業態が非常に注目されているという背景もありましたが、そのタイミングで各分野のバージョンアップ表現できるようになり、それが実際にお客様に受け入れられ、メディアに取り上げられ、大きく伸びることができています」(肥後氏)
専門性、スピード感、柔軟性など組織面の強化も進む
ブランド規模が大きくなっていくにつれ、「組織」も強化していかなければならない。3COINSのステージを上げるための4つ目が組織のバージョンアップだ。
これまで3COINSで培ってきたノウハウを持つメンバーに加え、外部から専門知識を持つスペシャリストの採用、新入社員を含めた若手のアイデアを取り入れようとする取り組みなど、組織としての適材適所、スピード感、柔軟性、大胆さを持たせることを意識していったという。
このように、3COINSでは2年間かけてバージョンアップを進めてきた。その結果として、肥後氏は「ブランドとしては非常に大きく飛躍することができた」と実感。そして、「3COINSとしてはまだまだバージョンアップしていきたい」と意気込む。
「できない理由を探すより、どうやったらできるか常に考える」は、3COINSの従業員全員の合い言葉だという。店舗にも3COINS本部にもこの言葉を掲示し、大事な考え方として指針になっている。最後に肥後氏は、「今後もどんどんバージョンアップをしていく3COINSをどうぞお楽しみいただければ」と締めくくった。