パルが運営する雑貨ショップ「3COINS(スリーコインズ)」は、コロナ禍においても大きく成長を続けている。この成長の背景にあるのは約2年前から進めてきたブランド改革だ。「3COINS」ブランドが生まれてから25年以上、取り巻く環境やマーケットの変化に対し、どのように改革を進めてきたのか。9月7日に開催された「MarkeZine Day 2022 Autumn」に登壇した3COINSブランド長の肥後俊樹氏が改革の歩み、ポイントについて語った。
コロナ禍以降に急成長を生んだ「ブランド改革」
3COINSは「あなたの“ちょっと幸せ”をお手伝いする雑貨店」というコンセプトで1994年からスタートした300円を中心とする雑貨店だ。運営しているのはアパレルブランドを40以上運営している株式会社パル。アパレル企業が低価格雑貨を運営しているという点は、他社と異なる特徴であり、強みでもある。
オープン以来右肩上がりの成長を続けてきた3COINSだが、実はコロナ禍前の数年間は、売上が伸び悩んでいたのだという。しかし、コロナ禍以降の2年間で売上・店舗数ともに大きく拡大。この要因となったのが、本セッションのテーマとなる「ブランド改革」だ。
2019年に3COINSのディレクターとなった肥後氏は、伸び悩む3COINSに対し、「迷子になっている」と感じたという。
「当時のターゲットは20代女性。“かわいい”、“便利”、“安い”といったワードをイメージとして運営しておりました。ただ、社内にヒアリングしていく中で、世の中の変化に対して3COINSが向かう方向がわからないという声もあり、3COINS自体が迷子になっていたのです。今一度、自分たちはどうすべきかを整理する必要があると感じました」(肥後氏)

1979年生まれ。関西外国語大学卒。アパレルメーカーで商品企画・バイイング・店舗ディレクションを経験した後、2013年雑貨ブランド「ASOKO」の立ち上げに参加。商品仕入れやコラボ企画、VMDやPRなどブランド全般のディレクションを務める。2019年、3COINSディレクターを経て、2020年より現職の3COINSブランド長に就任。
コアターゲットの再設定と新たなブランド指針
そこで3COINSが実践したのが次の3ステップだ。
(1)3COINSの現状を把握する
(2)3COINSがどこに向かっているのかを明確化する
(3)そのためには何をしないといけないのかを設定する
まずは3COINSの現状を把握するため、「パルアプリ」を活用し、実際に3COINSで購入している顧客のデータを調べた。すると、ターゲットとしていた20代ではなく、30代後半が一番のボリュームゾーンになっていることがわかったという。
「今となってはこういったお客様データを活用することが当たり前のことになっていると思いますが、当時3COINSではまだ情報を持っていませんでした。アプリの普及により実際のボリュームゾーンが見えてきたことによって、自分たちが行う商品MDと実際の客層との間に大きなずれがあると認識することができました」(肥後氏)
次に、SNSの普及や雑貨マーケットにおける競合の進化など、周辺環境が変わっていく中で自分たちがどこに向かうのか、である。3COINSでは、「VERSION UP」をブランドの指針として定めた。「この“VERSION UP”というワードがこの先の自分たちにとってすごく大きかった」と肥後氏は振り返る。
そして、そのために何をしないといけないのか、というところでは、「3COINS自体の価値を作ること」が必要だと考えた。これまで競合を意識し、「安さ」で戦ってきたところがあった3COINSだが、今後は競合と同じフィールドで戦うのではなく、次の4つの「VERSION UP」によって「自分たちのステージを上げる」ことで、より高みへの成長を目指したという。
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落合 真彩(オチアイ マアヤ)
教育系企業を経て、2016年よりフリーランスのライターに。Webメディアから紙書籍まで媒体問わず、マーケティング、広報、テクノロジー、経営者インタビューなど、ビジネス領域を中心に幅広く執筆。
※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です
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