出戻りコストを削減、工数が見える化
三つ目の成功理由は、ユーザーの反響を見て、サイトを「即」改善できるチームになったことだ。
PDFやパワポのデザインなどと、サイトでは見え方が微妙に異なるため、今までは出戻りコストが生じていた。ferret Oneは実際のサイトでデザインが組めるため、その心配がなく、メンバーの負担が減った。また、これまではサイトの機能をどこまで実装できるのかが判断しきれないところがあったが、ferret Oneを使用するようになってから、新しいデザインのアイデアも生まれるようになった。
「今まではデザイン設計をパートナー企業が行っていたため、工数がざっくりとしか見積ができませんでしたが、ferret Oneを導入してからは精緻な時間がわかるようになりました。これは自分達でサイトを変更できるようになったことが起因しています。ferret Oneという共通のフォーマットができたことで、メンバーから出てくる施策も現実味を帯びてきました。また、工数もわかるのでリーダーとして管理もしやすくなりました」(宇野氏)
もちろん順調なだけでなく、様々な悩みも生じた。その一つが「施策を実行していく中でのマーケター側のレポーティング」だ。
数値をどう解釈して経営陣に伝えていくのか、どう未来を見せていくのか。本来のマーケティングの測り方では投資と受注金額で算出するのだが、多くのフローの中の「間の数値」を見ることは難しい。形式的な項目を埋めたら終わりというレポートもある中、今の状況を見たらどこの指標がキーポイントなのか、ただ数を見るだけではなく未来に向けた分析を周りと相談し、臨機応変に行ってきた。
「数字を出す時は『意味のある数字をどのタイミングで出すか』を常に上司と打ち合わせをしていました。最初はコンバージョン数しか報告できませんでしたが、商談化率やアポ獲得数など数値化できないか試行錯誤し、変えてきました」(宇野氏)
事業部チームから全社組織に成長
一つのチームが成果を出すことはあるが、全社組織にまで影響することは珍しい。宇野氏は経営の中でインサイドセールスの期待が高まり、拡大のアクセルが踏みやすくなったところで、すべての仕事を誰にでもできるように仕組み化した。
人を増やしていけば、できることが増えていく。型化と汎用化を繰り返すことで、結果として、リンクアンドモチベーション全体を支援できるようになった。そして一つの事業部チームが全社組織へと成長した。
人員・予算不足に悩む後輩マーケターに、基本は目の前で成果を残すことが大事だと宇野氏は語る。
「残した成果を溜め込まずに報告しましょう。ただし、報告も編集が必要です。売上が必要な時もあれば、コンバージョン数の時もあります。適切な報告をして、影響度を高めていくことが大事です」(宇野氏)
「どのくらい良い影響を与えるのか? 影響度合いを広げる時間はかかりますが、予算や人員は増え続けます。短期的な信頼は、長期的な信頼の創出を促します。今を未来につなげるための取り組みを決して諦めないでください」と菊池氏と宇野氏はセッションを締めくくった。
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