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特集:2023年・広告の出し先

2023年は広告の断片化が加速。台頭する3つの広告配信先

 2022年は「Microsoft Advertising」やPinterestの広告事業が国内でスタートするなど、新しい広告配信先が登場してきた。長きにわたりネット広告業界に身を置き、運用型広告の運用支援を行うアタラのCEO杉原剛氏は「2023年は大きく3つの配信先が台頭し、断片化が進んでいく」と語る。本記事では、そんな杉原氏に2023年の広告配信先の予測を聞いた。

※本記事は、2022年10月25日刊行の定期誌『MarkeZine』82号に掲載したものです。

ネット広告は断片化と収束を繰り返してきた

──2022年は「Microsoft Advertising」が日本で展開を開始するなど、新しいプラットフォームの台頭、競争が予感される1年だったと思います。2023年の広告配信先はどのように変化していくと思いますか。

アタラ合同会社 CEO 杉原 剛(すぎはら・ごう)氏 KDDI、インテルでコンサルティング営業、マーケティングに従事。オーバーチュア(現ヤフー)、Googleの広告営業戦略立案に携わった後、アタラを創業し、代表を務める。広告運用・デジタルマーケティングの自走化、BIツールを使ったデータ活用の自走化を実現するコンサルティングを行う。2019年にスイスIMD(国際経営開発研究所)のLeading Digital Business Transformationコースを修了。
アタラ合同会社 CEO 杉原 剛(すぎはら・ごう)氏
KDDI、インテルでコンサルティング営業、マーケティングに従事。オーバーチュア(現ヤフー)、Googleの広告営業戦略立案に携わった後、アタラを創業し、代表を務める。広告運用・デジタルマーケティングの自走化、BIツールを使ったデータ活用の自走化を実現するコンサルティングを行う。2019年にスイスIMD(国際経営開発研究所)のLeading Digital Business Transformationコースを修了。

 ネット広告はフラグメンテーション(断片化)と収束を繰り返しており、2023年は断片化が加速すると考えています。最初に断片化が始まったのはSNSが台頭してきたタイミング。アドテクノロジー事業者の登場によってさらに断片化は加速しましたが、その後収束が進みGAFA(Google、Apple、Facebook、Amazon)をはじめとしたプラットフォーマーの寡占状態となりました。

 しかし、海外でGDPRなどのプライバシーを保護する法律が施行され、日本国内でも個人情報保護法が改正されました。また、インターネットブラウザを提供する企業が自らCookieを廃止する規制を行い、広告主もこれまで通りの配信だけでは立ち行かない状況となりました。このような動きから、広告の断片化が始まりつつあるのが現在です。

2023年、注目の3つの配信先

──断片化が進み、新たな広告配信先がどんどん登場してくるとのことですが、具体的にはどのようなものが出てくるのでしょうか。

 大きく3つの配信先のカテゴリーがあると思います。1つ目は新たなプラットフォーマーです。GAFAのように大量のIDを持つ企業の広告事業が成長しているのを見て、先ほどの質問に出てきた「Microsoft Advertising」を提供するマイクロソフトやPinterest、Snapchatなどが続々と広告事業を本格化しています。

 2つ目は、リテールメディアです。プラットフォーム以外の事業会社もIDを持っており、その代表となるのがECやリテール事業を展開する企業です。属性データはもちろん、購買データも持っており、特にドラッグストアやスーパーでは購買頻度も高いことから、顧客の趣味・嗜好を把握できています。そのため、高い顧客解像度で広告配信できる可能性を秘めています。日本ではこれからですが、欧米ではすでに具体的な取り組みが進んでいます。

 そして、3つ目は私が考えた造語ですがX-メディアの台頭です。X-メディアとは、リテール以外で広告事業に乗り出そうとしているプレーヤーを指します。たとえば、米国ホテルグループのマリオット・インターナショナルは米ヤフーと提携し、広告主がマリオットの顧客に対し広告配信を行える「マリオット・メディア・ネットワーク」を立ち上げました。

 米国ではこのような取り組みが様々な業界で起きており、「Everyone is Ad Network」の状態になりつつあります。日本国内でも、通信業界や金融業界などで広告事業を立ち上げる動きが進んでおり、2023年から続々と登場する可能性が高いです。

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要注目は「Microsoft Advertising」と「Pinterest」

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この記事の著者

道上 飛翔(編集部)(ミチカミ ツバサ)

1991年生まれ。法政大学社会学部を2014年に卒業後、インターネット専業広告代理店へ入社し営業業務を行う。アドテクノロジーへの知的好奇心から読んでいたMarkeZineをきっかけに、2015年4月に翔泳社へ入社。7月よりMarkeZine編集部にジョインし、下っ端編集者として日々修業した結果、2020年4月より副...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2023/02/09 15:38 https://markezine.jp/article/detail/40349

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