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MarkeZine Day 2022 Autumn

「行動×意識」で見えてくる生活者の欲求 博報堂生活総研のデジノグラフィ研究事例

思い込みや俗説をひっくり返すことは可能なのか

 生活総研ではビッグデータの客観性の高さを活かし、「思い込みや俗説をひっくり返すことは可能なのか」を検証する実験をいくつか行っている。たとえば「巷で広がる、若者はブラウザ検索をしないという説は本当か」。時代はハッシュタグ検索だともいわれるが、それが本当かどうかを検証した。

 スマホログデータを分析すると、2016年には20代のブラウザ検索は月に約30回だったが、2020年になると最多で40回ほどになり、減るどころかむしろ増加していたという、俗説をくつがえす実態が明らかになった。更に分析を進めると、20代の約2人に1人はブラウザ検索と同時に、Twitter、InstagramといったSNSを使用していた。ブラウザ検索とSNS利用は相反するものではなく、むしろSNS利用をするほど興味のきっかけが生まれ、検索行動につながるという傾向も見えてきたのだ。

雑誌の紙面に現れる20代女性の価値観の変遷

 20代女性の価値観の検証では、長期間の価値観の変遷を分析するため、雑誌の紙面データを取り上げた。2001〜2021年のCanCamの目次ページから単語を抽出し、推移を分析した。時代によって雑誌の厚さは変わるが、目次だけは毎号2ページと動かないため、同一条件での観察が可能となるのだ。

 目次に出現する単語の推移を分析した結果、トレンドを表す「流行、新作、人気」といった言葉は近年、激減していることが判明した。また、「本命、勝負」の言葉も減っていることから「勝ち負け」の時代ではないこともわかる。逆に近年出てきたのが「自分、あか抜け、偏愛」といったワードだ。

 CanCamの歴代編集長によれば、2015年以降は「徒競走で順位がつかない」といった競争を前提としない教育環境で育った世代が読者になったことから、受け入れられる文脈も「勝ち負け」から「自分」史上最高を目指す文脈に変化したそうだ。また、最近はWebコンテンツでヒットしたワードが誌面に逆輸入されるケースも増えており、「偏愛」や「あか抜け」というワードはその代表例とのこと。

 メディアに埋蔵された情報をデータ化することでも、世代が変わり、価値観が変わり、言葉が変わる実態が見えてくる

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行動と意識を同時に分析する

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この記事の著者

西原 小晴(ニシハラ コハル)

 京都府立大学農学部出身。前職は大手印刷会社にて化学物質管理のシステム開発&管理者。退職後、化学・建設・環境法規制などの知識を活かして大手企業のライティングを行う。現在はリードナーチャリング、セールスライティングをメインとするマーケターとして活動中。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2022/11/10 08:00 https://markezine.jp/article/detail/40385

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