そもそもポストCookie時代を整理してみよう
こんにちは。スパイスボックス 事業統括責任者の森竹アルです。前回は、ライフスタイラーとレビュワーという2種類のインフルエンサーを活かすマーケティング手法について解説しました(前回記事)。
今回はもう少し大きな話です。サードパーティCookieの利用が規制され、Cookieを利用した広告配信ができなくなる未来。いわゆるポストCookie時代に向けたSNSデータ活用の可能性について考えていきます。
まずは、ポストCookie時代にまつわる基本情報をおさらいしておきましょう。サードパーティCookieの規制に関するスケジュールは、現状まだ完全には定まっていません。ブラウザによってスケジュールは異なります。国内シェアの高い2大ブラウザ、Google ChromeとSafariにおける現在の見通しは以下の通りです(2022年11月現在)。
すでにSafariではサードパーティCookieは使えない状態。Google Chromeも2024年からは順次使えなくなります(Google社ではプライバシー・サンドボックスという代替技術を開発中)。
サードパーティCookieの規制によって、デジタル広告では第三者配信を提供している企業によるターゲティング広告が使えなくなるため、これまでよりターゲティングの自由度が下がります。
これに対応する形で現在様々な代替手段が登場し、注目されています。以下は2022年11月現在で筆者が知り得ている代替手段ですが、今後も代替となる手法や精度は発展し続けると予想します。
特にコンテクスチュアル・ターゲティングは現在すでに活用できる配信技術として確立されており、利用企業も増えています。本稿では、このような配信側の技術進化とともに、配信元となる広告主がどのような準備と取り組みをしていくべきかを考えていきます。
注目度が高まるSNSデータの活用
代替手段としても挙げましたコンテクスチュアル・ターゲティングは、サードパーティCookieによってブラウザ(=人)をターゲティングするのでなく、広告を表示する配信面を指定するターゲティング手法です。Web上の記事コンテンツの文脈を解析し、設定したカテゴリーやキーワードをもとにターゲティング配信を行います。
つまり、自社の商品(または競合の商品)を愛用している顧客は、どのような事柄に興味を持つ人たちなのかを深く理解できていれば、これから商品を買ってもらいたいお客様(=広告でリーチしたいターゲット層)を精度高くターゲティングしやすくなるわけです。
コンテクスチュアル・ターゲティングを提供するツールベンダーは、Web上の記事に使われている言葉をAIで解析し、設定したカテゴリーやキーワードとのマッチング精度を上げていってくれます。ただ、それ以前に各広告主が「どのカテゴリーやキーワードが自社にとって効果的か?」という「顧客像の仮説」を高い解像度で描くことがこれまで以上に重要になっているのです。
そして筆者が「顧客像の仮説」の解像度を上げていく上で欠かせなくなってくると考えているのが、SNSデータ分析の有効活用です。