ゲームだけではない。「ビジネス・仕事」「教育」「医療・福祉」領域でも広がるメタバース活用
──私も参加しましたが、各社の最先端技術が集まった、非常にわくわくするイベントでした。Metaのブースでは、「Meta Quest2」と、バーチャル会議室「Meta Horizon Workrooms」などが紹介されていました。ここで、「Meta Horizon Workrooms」について教えていただけますか?
味澤:「Meta Horizon Workrooms」は、物理的に離れていても、同僚と一緒に仕事をすることができるバーチャル会議室です。
味澤:アバターとしてVR空間で会議に参加したり、パソコンのビデオ通話でバーチャルルームにダイヤルインしたりすることができます。VRヘッドセットを使って参加すると、“同じ空間にいる”という感覚を体験することができると思います。とはいえ、言葉でお伝えしてもなかなかイメージしづらいですよね。
まずは体験して知ってもらうことが重要だと思っているので、私自身が実際に他社とのミーティングやメディアの取材を「Meta Horizon Workrooms」上で行う機会を増やしていっているのですが、実際に体験してもらうとバーチャル空間の「没入感」とその良さをわかっていただけると思います。たとえばこういったインタビューも、二人きりで、雰囲気の良いインテリアの部屋にいる感覚で話せるのでかなり集中して話すことができます。
──バーチャル上で仕事を行うという世界観が、今後当たり前になってくるのでしょうか?
味澤:それはまだ何とも言えないところですね。ただ、バーチャル空間で様々なユースケースが生まれていることは確かです。「ゲーム」で使われることが多かったのですが、今やこういった「ビジネス・仕事」のみならず、「教育」や「医療・福祉」といったユースケースも出てきています。今後もメタバースのベネフィットが反映された様々なユースケースが出てくるのは間違いないでしょう。
メタバースで生まれる、新しいブランド体験
──マーケティングにおいては、どのような使い方が期待できるでしょうか? すでに事例があれば合わせて教えてください。
味澤:米国の事例になるのですが、ファストフードチェーンのWendy's(ウェンディーズ)が実施したプロモーションは、新しいブランド体験を生んだ非常におもしろい事例です。
Wendy'sはまず「Meta Horizon Worlds」の中に、独自エリア「Wendyverse」を開設し、Wendy'sの店舗などを模したメタバース上の空間に利用者が集まり、ゲームをプレイできる空間を作りました。そして、あるNBA選手を起用したキャンペーンを実施した際には、「Wendyverse」上でバスケットのシュートゲームができる空間を作り、テレビCMやInstagramのAR広告と組み合わせて大々的に打ち出しました。
複数のタッチポイントで消費者にリーチし、またバーチャル空間上で新しいブランド体験を生み出したことで非常に話題になり、高い広告効果を得られていました。
味澤:日本国内ですと、まだ「Meta Horizon Worlds」はリリースしていないためAR活用が中心となります。これまでInstagramにおけるARは、内カメラを使用し、フェイスフィルターで顔を変えたり、商品を試着したりといった使われ方がされてきました。これに加え、現在広がっているのが、外カメラを活用し、家具や車といったものを好きな場所に置いてみるといった、ショールームの代わりとしての使われ方です。


味澤:特に車などは、ショールームに行っても必ずしも自分の欲しい車種がなかったりもしますので、カスタマイズなども自由に試せるARは非常に相性が良いですね。海外では、ARを使ったシミュレーションを準備することで、購買意向が高まるというデータもすでに出ています。
