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MarkeZine Day(マーケジンデイ)は、マーケティング専門メディア「MarkeZine」が主催するイベントです。 「マーケティングの今を網羅する」をコンセプトに、拡張・複雑化している広告・マーケティング領域の最新情報を効率的にキャッチできる場所として企画・運営しています。

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イベントレポート

マーケターにも必要な「みんながクリエイター」という視点。識者に聞く、クリエイターズエコノミーの今


「天皇家御用達」はコンテクストを活かしたインフルエンサーマーケティング

外山:近年、その企業としての在り方を明確に定めて世の中に発信していくことの重要度が増していると感じます。たとえば修理して長く使ってもらうことの良さを謳っているメーカーが、実は裏で製品を廃棄していたという事実が表に出たら、SNSで炎上したということもありました。こういった一つの「企業としての人格」部分をどう発信につなげていくのかも、非常に大事だと思います。

明石:我々の会社では「コンテクスト」という言い方をしています。それぞれ企業とかブランドが持っている考えや方針があり、それを基に実際に行ってきた様々な「ファクト」が積み重なってコンテクストが出来上がります。

 クリエイターの強みは、ファクトをクリエイティブという形で残しているから説得力が生まれる点です。だから我々も、企業とクリエイターをつなぐ際は絶対にそのコンテクストが合っている人を選ぶようにしています。ただフォロワー数や知名度だけで選ぶとコンテクストが合ってないから、クリエイターだけが話題になってブランドのことは一切触れられない、というような状況が生まれてしまいます。

外山:たとえば地方で味噌作り企業の8代目がどうやって事業を継承していけばいいか考える際、町に保存された文献や石碑を調べたという方がいました。昔から地域に貢献してきた企業だったので、先祖が何をやろうとしていたのかを調べその文脈でリニューアルを行ったら企業のビジョンが明確になりぶれなくなった、というのもコンテクストに沿った結果だと感じますね。

明石:「天皇御用達」「ロイヤルファミリー御用達」は昔のインフルエンサーマーケティングだと思うんですよ。天皇家とか王室の歴史に乗っかって、よいものを使ってきた人たちが好きだからというストーリー一つひとつを自分たちの振る舞いや発信に活かさないといけない。過去は究極のファクトですからね。

クリエイターズエコノミーは今後もっと広がる

榊原:ファクトの積み重ねという、企業とクリエイターにしかできないことを押さえて発信していけるかが問われるのですね。続いては、今後クリエイターズエコノミーはどうなるのかをお聞きします。

 たとえば「切り抜き動画」など、他人のコンテンツを使ったクリエイティブの作成者をクリエイターとみなすかどうかは現在意見が分かれる質問ですが、こういったコンテンツは今後も増えていくと思います。このような、クリエイターの今後のあり方についてどう考えられますか?

竹嶋:いわゆる二次創作の範疇に入るものだと思いますが、私はその作り手もクリエイターだと思います。近いものだと音楽のサンプリング(音や歌詞の一部分を使い、新たな音楽を作ること)やアートのサンプリングコラージュは、従来手法としてありますよね。今後はオンライン上でやりやすい分、こういった動きはもっと増大していくと思います。

榊原:オリジナルがあって、それをさらに違った形にする、あるいは見やすくすることも一つのクリエーションとみなされるということですね。

外山:特許などの知的財産権の考え方においても、たとえばパチンコ台を発明した人が特許を取ったらもう別の人がパチンコ台を世に出せないということではなく、プラスアルファで何かしらの工夫や新しい創作が施されていれば新たに権利になりますという制度です。そういう観点から考えると、オリジナルをベースに新たに創作した部分に関しては、知的財産の制度もその人を創作者として認めています。

明石:そもそも切り抜きという言葉は、YouTubeが切り抜き元の動画の配信者にも収益が分配されるエコシステムを作ったところから生まれた言葉です。つまり、新たな潮流に経済的な何らかの仕組みが入ると、クリエイターの職種ロールとして認知されていくのだと思います。

 クリエイターズエコノミーの未来の話について加えると、先日YouTubeが出した「YouTube Impact Report」が印象的でした。2021年の日本においてYouTubeのエコシステムにより、10万人以上の雇用が生まれているそうです。

 そうやって十数年前の人が思いもよらなかったところにクリエイターが現れ、その周辺に新しい仕事が生まれて、クリエイターズエコノミーは広がっていくのだと思います。将来はクリエイティブな職業に就く人の割合が増えていくのではないでしょうか。

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この記事の著者

吉永 翠(編集部)(ヨシナガ ミドリ)

大学院卒業後、新卒で翔泳社に入社しMarkeZine編集部に所属。学生時代はスポーツマーケティングの研究をしていました。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2022/12/21 16:44 https://markezine.jp/article/detail/40715

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