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WHO/WHATを解き明かす、上流マーケティングの10ステップ

「狙うべきターゲット」を、ブランドとビジネスの観点で明確にする。ターゲティングに必要な思考と実践法

STEP4:ブランドセンスチェック

 ビジネスとして成り立つ市場規模があり、獲得難易度が高くないセグメントを見つけたら、ブランドとして、また企業として、「そのセグメントを狙うことが、中長期的な観点で本当に正しいか」を確認します。

 たとえば、若い世代に売れている商品が伸び悩み、顧客のボリュームがあるからといって、高齢者に向けて売っていった場合、若い世代のブランド離反が発生する可能性が高いです。仮に、一時的に双方がキープできたとしても、ビジネスの特性上、ボリュームが大きいターゲットを基本は追いかけ続けてしまうので、ブランドのイメージは年々年配の方に向けた方向性に進んでいくことになるでしょう。

 この「ターゲットを選定する上での意思決定が本当に正しいのか」を、経営層やマーケティングチーム内で議論し、判断する工程が、ステップ4の「ブランドセンスチェック」になります。ここでは顧客と会話をしたり、調査をしたりするというよりは、とにかく社内で話し合うことが重要です。

ブランドとして本当に狙うべきターゲットなのか?

 最近では、とある高級ブランドが実施した、YouTuberを起用したプロモーションについての賛否がわかれていました。恐らくYouTuberのファンの方々を取り込むことで新たな顧客層を拡大していくことを狙ったマーケティング施策であったと思われますが、SNS上では「既存顧客が離れてしまうのでは」「高級ブランドというイメージが薄れてしまうのでは」という意見も散見されました。このように、新規の顧客を拡大する際に、何かを失う可能性があることは、マーケティングにおける難しい点のひとつです。

 もちろん、既に売上が大きいブランドでも、継続的に成長していくためには新規顧客の獲得は必要です。ですが、新しいターゲティングによって顧客の新規獲得ができたとしても、本当にそのセグメントの顧客への訴求を行うべきかの検討は必ずすべきでしょう。前述した通り、新しいセグメントを取りに行くには、それ相応のポジショニングが必要であり、それはブランディングにも影響するからです。

 一方、新規ブランドであれば、積み上がったブランドの資産がありませんので、気にしすぎる必要はありません。ですが、ブランドイメージは購入するターゲット側によっても構築されていくので、ある程度作りたいブランドイメージが確立されている場合、このステップを通じて、狙うべきターゲットとそうでないターゲットを明確にすることはブランド作りにおいて重要です。そのため、是非ブランド担当者のみならず経営者も巻き込んで、ステップ4のブランドセンスチェックのプロセスを実行してください。

 なお、このステップでも、ステップ3の時と同様に、3が最も獲得すべき、2がどちらとも言えない、1が獲得すべきでない指標として、スコア化を行ってください。

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STEP5:優先順位付け

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この記事の著者

木村 元(キムラ ツカサ)

株式会社Brandism
代表取締役

ユニリーバに2009年に入社。約12年間、ラックスやダヴなどのブランドマーケティングを経験。国内を中心とした360°のプロモーションから、グローバルのブランド戦略や製品開発まで、幅広く従事。ロンドン本社にてダヴを担当し、グローバル全体のブランド戦略設計をリードした後、20...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2022/12/27 09:30 https://markezine.jp/article/detail/40856

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