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MarkeZine Day(マーケジンデイ)は、マーケティング専門メディア「MarkeZine」が主催するイベントです。 「マーケティングの今を網羅する」をコンセプトに、拡張・複雑化している広告・マーケティング領域の最新情報を効率的にキャッチできる場所として企画・運営しています。

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MarkeZine Day 2025 Retail

D2C企業と探る、BX(ブランド体験)の可能性

資生堂がDXを通じて実現する「テーラーメイドなオンリーワン体験」とは

「テーラーメイドなオンリーワン体験」を実現する新サービス

磯山:「テーラーメイドなオンリーワン体験」を提供する取り組みとして、「Beauty Key」の新サービスのローンチや「Beauty DNA Program」のテスト展開などもチャレンジされています。これらについて詳しく教えていただけますか。

株式会社wevnal 代表取締役社長 磯山博文
株式会社wevnal 代表取締役社長 磯山博文

スギモト:「Beauty Key」は、オンリーワン体験の決め手として2022年9月にローンチしました。肌測定結果やカウンセリング履歴などを一元管理するOne ID化によって、「一人ひとりのなりたい『美』の扉を開くための鍵」という意味を込めています。

 情報を一元管理することで、それぞれのお客様に合ったサービスを、場所や時間を問わずシームレスに提供できます。さらに「Beauty Key」で得た情報を、店頭対応の精度向上や商品開発にも活用できますし、将来的には生産や物流と連動させることも考えています。

磯山:一貫したブランド体験にもつながりそうですね。「Beauty DNA Program」についてはいかがですか?

スギモト:資生堂独自のアルゴリズムを活用したDNA検査法で、シワのできやすさ、できにくさなど、個人が生まれ持った肌の特徴に基づいて最適なケアを提案するサービスです。

 検査結果に応じて最適なケア方法をパーソナルセッションという形で用意しています。一人ひとりが目指す健康美に向けて、当社のPBPが伴走します。テクノロジーだけでなく、人を融合させた最新のパーソナライゼーションサービスを通じ、一人ひとりの美を実現するのです。

磯山:単なる検査サービスではなく、それぞれが考える「美」へ向けて進んでいく体験にも力を入れていらっしゃる。

スギモト:自分らしい「美」を表現するには、自分のことをよく理解する必要があります。このサービスによって、美の可能性が広がるだけでなく、自分に自信が持てるようになっていただきたい。それこそがビジョンである「PERSONAL BEAUTY WELLNESS COMPANY」に込めた想いであり「生涯を通じて一人ひとりの自分らしい健康美を実現する」ためのサポートだと考えています。

新規顧客獲得から長期愛用者育成へのシフト

磯山:マーケティング戦略についてもお聞きしたいと思います。資生堂さんは2020年に、「2023年までに媒体費に占めるデジタル比率を90%以上にする」という、デジタルシフトを宣言されていらっしゃいます。この宣言は、マーケティング戦略においてどのような意味があったのでしょうか。

スギモト:たとえば「季節ごとの新商品による新規顧客獲得」に集中していた投資を、「パーソナライズ体験による長期愛用者育成」へシフトすることを意味しています。

 それまでのマスマーケティングを中心としたメディアベースのマーケティングは、新規顧客獲得は見込めても、顧客に対して適切な投資をしなければ継続的な愛用者は増えないので、持続可能ではありません。そのため、「Beauty Key」を通じて一人の方の長い人生に寄り添うという「お客様の体験ベース」の考え方に置き換えています。

磯山:継続的な愛用者、つまりLTVを向上させるためにはブランド体験が大切だということですね。具体的にはどのような施策をされていますか?

スギモト:お客様の購買データに基づき、継続的に購入されている商品を「ヒーロープロダクト」と定義しました。ブランドを代表するベストセラー商品は、お客様が決めるものです。ブランド側が一方的に「これがいいですよ」と打ち出すものではありません。

 そしてSNSや店頭など、オムニチャネルでヒーロープロダクトとお客様の接点を保ち続けることで、ヒーロープロダクトの育成と流入増加を両立しています。

磯山:プロダクトの価値は顧客からの評価で決まる、と。徹底した顧客目線ですね。

スギモト:社内のKPIも、お客様の観点を反映してアップデートしています。アクティブ愛用者数やロイヤルティ、ブランドに対する好意度などをKPIに加えました。

 これらも、「長期愛用者育成」という目標の達成状況を可視化するためのものです。

次のページ
お客様がPBPに求めるのは「共感」と「後押し」

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この記事の著者

磯山 博文(イソヤマ ヒロブミ)

株式会社wevnal 代表取締役

 2008年大手インターネット企業に新卒で入社し、メディアレップ事業、新規事業開発に携わる。2011年4月に株式会社 wevnal を創業し、LTV最大化を実現するBXプラットフォーム「BOTCHAN」を展開。累計導入社数は600社を超える。

 12期目を迎えた20...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2023/01/10 09:00 https://markezine.jp/article/detail/40941

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