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ソーシャルリスニング2.0 - TwitterからはじめるSNSのデータ活用

宝の持ち腐れにしないために ソーシャルリスニングツール導入前のチェックポイント

有料ツールの導入には「目的の明確化」が不可欠

 有料ツールの導入を検討する際は、「導入をした先に何を実現したいのか」を明確にすることが非常に重要です。

 「自社製品に関するクチコミの全容を把握する必要はなく、有益なクチコミを少数発見したい」といった場合なら、無料で行えるエゴサーチでも十分可能です。

 無料ツールで行うUGC分析とソーシャルリスニングツールで行う分析を、複数の項目で比較した表を用意しました。ソーシャルリスニングツールの導入を検討する際の参考にしてください。

比較表
【クリックすると拡大します】
無料ツール、ソーシャルリスニングツール(有料ツール)で行う分析について、複数の項目でできること・できないことを比較した表

 また 、次 の3項目も有料ツール導入検討時に確認すると良いでしょう。

分析した いデータはアカウントの投稿データか、UGCか

 一般的にソーシャルリスニングツールでは、自社アカウントの投稿データ(投稿のインプレッションやいいね数など)を見ることはできません。

 自社アカウントの投稿データを分析したいだけであれば、まずは公式が提供する「Twitter Analytics」や「Instagramインサイト」などの機能を使うことがおすすめです。

 ホットリンクの支援でも、基本的にはこれらを活用しています。自社アカウントの投稿データを収集・分析する有料ツールもありますが、ソーシャルリスニングツールとは別物です。

  ただし、SNS活用を売上につなげるには、本連載の第2回でも解説したように、UGCの分析が鍵となります。

 SNS上では、企業のアカウントも個人のアカウントも影響力は同じです。自社が行った発信に対する反応を深掘りするより、UGCから多くのユーザーの論調を分析する方が、得られる示唆が多く、SNS活用を売上につなげるヒントも拾えます。

 自社で運用しているアカウントのデータを分析したいのか、それともUGCを分析したいのか、取り扱いたいデータを検討しましょう

どのSNSに注力するか

 どのSNSを活用したいのか、明確にしましょう。そのSNSに力を入れたいかどうかも判断基準のひとつですが、そもそも分析したいデータが提供されているでしょうか。

 SNSによっては、そもそもUGCのデータを提供していないサービスもあります。Twitterはあらゆるクチコミデータを提供していることから、データ分析がしやすいSNSです。

 Instagramは設定した少数のハッシュタグを含むUGCを収集できますが、それ以外のデータ収集が難しく、競合やトレンドの分析を行う難易度が非常に高いです。

有料ツールは「魔法の杖ではない」

 有益な示唆を自動的に抽出することはできません。

 筆者は、ソーシャルリスニングツールの導入を初めて検討する方々に必ず、「有料ツールは魔法の杖ではない」とお伝えしています。ツールは様々なデータの集計を通じて、有益な示唆を出す手助けはしてくれます。しかし、あくまで実際の判断をするのは、ツールを使う人間です。

 有益な示唆を効率よく得るには、ロジカルシンキングの力を鍛えると良いでしょう。第1回の記事では、UGC分析のコツのひとつとして、「なぜ」という問いを突き詰めていく手法を紹 介しました(例:なぜこの人は/なぜこの時間に/なぜこのようなUGCを投稿したのか)。  

 分析したいことを明確にし、仮説を立て、検証する。このフローを反復することで、ロジカルシンキング力を鍛えることができます。もちろん、無料ツールを使った分析でも鍛えられます。

有料ツールは「アカウント運用改善以外」にも活用できる

 分析の目的が不明確なままツールを導入しても、宝の持ち腐れになってしまいます。有料ツールの相場はおよそ月額10〜20万円であるため、せっかく導入するのであれば、十分に活用したいところです。そのためには、ツールの導入によって業務をどの程度効率化できるのか、事前に洗い出してみてください

 なお、費用対効果を高めるには他部署を巻き込む方法もあります。たとえば、UGCから発見した自社製品の改善点は、商品開発において活用が可能です。自社の製品に対する実際のUGCや、競合よりも自社製品のUGCの方が多く出ているデータがあれば、営業部に共有し、提案用の営業資料に活用してもらう手もあります。

 UGCのデータを関係部署や様々な業務に横展開し、相互連携を図っていけば、費用対効果をより高めることも可能です。

 ソーシャルリスニングツールはSNSアカウントの運用改善以外の面でも活用の余地があります。まずは「何のために有料ツールを導入したいのか?」と、目的から整理してみていただければ幸いです。

 次回は、実務に活かせる有料ツールのユースケース5選を紹介します。

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この記事の著者

辻 元気(ツジ ゲンキ)

株式会社ホットリンクのデータアナリスト。2018年に入社し、ソーシャルリスニングツールのセールス・カスタマーサクセスに従事。現在はSNSの分析を強みに、大手企業アカウントのコンサルティングを複数社経験。ホットリンク社内の分析スキル向上も推進。分析のなかでも、エンタメ業界のトレンド分析が得意。音楽やアニメなど、エンタメ業界に関する社外向けの業界調査リリースなども行う。

Twitter:@Genkitsuji01

株式会社ホットリンク

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2023/01/30 09:00 https://markezine.jp/article/detail/41025

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