推進すべき4つの変革のサイクル
――例年MarkeZineが実施している『マーケティング最新動向調査2023』によると、まだマーケティングのデジタル化が進んでいない状況もうかがえました。企業の規模が大きいほどDXへの投資も大きく、グラデーションがありますが、日本企業のDXの“現在地”をどのようにご覧になっているでしょうか。

ご指摘のように、企業規模に比例してDX投資が大きく、その分レバレッジも得ていると思います。ただ、それもやはり前述のように、改善のためのDXの幅が大きいとみています。事業創造や売上創出に関しては、まだこれからという認識です。なので、その部分で特に力になれればと考えています。
――トップメッセージとして、「広告コミュニケーションの変革だけでなく、事業全体の変革、顧客接点や体験の変革、それらを支えるマーケティング基盤変革」の4つを掲げられていました。いずれかから優先的に取り組むとしても、やはりどれもつながっているように思いました。
その通りですね。4つの変革のサイクルが回るような仕組みや体制づくりも推進していきます。加えて「アカウントイノベーション」という、アカウントを統合してサービスを提供する機能も持ち合わせているので、クライアントのニーズや市場環境、お客様の状況を総合的に捉え、課題に応じて優先する領域を見定めていきます。
たとえば広告の取り引きがある企業を深くヒアリングする中で、実はビジネストランスフォーメーションが必要だとわかることもあります。システムは入れたがうまく使えない、というケースも増えているので、そもそも顧客に対してどんな価値提供のために入れたのかという点からひも解き、立て直していくこともあります。
グループ力も生かしたチームワークを発揮していく
――では2023年、どういった部分に注力していくのでしょうか。先ほども挙がりましたがデータアーティストとの合併を含め、お聞かせください。
まずデータアーティストはご存じの通りAIに強いので、最先端のAI技術を活用して、あらゆるマーケティングの側面でクライアント支援につなげていきます。同社だけでなく、電通グループの様々なグローバル拠点とも連携を強化していきます。
加えて挙げると、今多くの企業がコマース領域に注力し始めていますが、まだ市場が熟していない状況だと思います。その領域での支援を、今年は拡大できればと考えています。
――クライアント企業の課題も、その解決策も多様になっていく中で、ますます精鋭な人材が多く必要になりますね。デジタル人材はここ数年、事業会社も含めて各社での取り合いになっていますが、これから御社が出会いたい方々へのメッセージをいただけますか?
各社それぞれの良さや、そこで積める経験値もあると思いますが、電通デジタルの特徴はやはり、社会を動かすような大きなプロジェクトを任せられることです。責任も大きいですが、それだけ速く成長でき、自己実現も叶えられると思います。領域も広いので、様々な専門性を備えた方々とコラボレーションしていく、チームづくりや一体感を魅力に感じているメンバーも多いですね。仕事の喜びを分かち合える、チームワークの良さは誇れるところです。
また、グループにはITからクリエイティブまで本当に様々な会社があるので、たとえばマスメディア×デジタルの業務など、デジタルに決して閉じない仕事を経験できるのもキャリアになるはずです。
パーパスとして「世界のあり方を変える」と掲げているように、我々の働きがクライアントに貢献してその先にいる顧客に届き、社会を動かす一助になることを常に念頭に、邁進していければと考えています。