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名刺管理サービスから営業DXサービスへ 事業ピボットを経て成長したSansanのストーリー


PMMとの密な連携で見えたある仮説

──プロダクトの開発チームとも密に連携しながらピボットに取り組まれたのでしょうか。

 当社には「Sansan Unit」という組織があり、そこにPMM(Product Marketing Manager)とPdM(Product Manager)が在籍しています。PMMはプロダクトのマーケティングメッセージを含めた販売戦略を考える立場で、PdMはお客様の業務状況を踏まえてプロダクトに求められる機能を考えるポジションです。我々のチームは特にPMMと目線を合わせながら、営業資料を作ったりイベントを企画したり広告を出稿したりしていました。

 企業DBやリスクチェックなどの機能が解決できることを一つひとつ紐解いていくと、名刺管理サービスと謳っていた頃より幅広いお客様にご興味を持っていただけるという仮説が立ったのです。「どのようなお客様に何の困りごとを解決できると訴求すれば良いのか」PMMと議論しながら固めていきました。

──営業DXサービスとしてSansanを打ち出した後に行っている主なマーケティング施策を教えてください。

 営業の責任者や次世代の営業リーダー向けに「Sales Innovators' NEXT」という1,000名規模のイベントを開催しています。各業界で活躍されているキーパーソンをお呼びしてチャレンジを語っていただいたり、デモを通してSansanの機能が営業業務にもたらすメリットを伝えたりしています。

入口は「名刺管理」でも提供可能な価値は広がった

──プロダクトコンセプトのピボットによって、どのような成果が得られたのでしょうか。

 2022年5月期・第2四半期のSansan契約件数は、前年同期比で6.5%増でした。契約してくださったお客様の声をヒアリングしていくと、やはり「名刺管理」をきっかけに問い合わせをいただくケースがまだ多いようです。

 これだけ聞くと「事業ピボットがうまくいっていないのでは」と思われるかもしれませんが、そんなことはありません。名刺管理サービスを検討している方の真の目的は、名刺管理にないからです。名刺管理の課題はもちろん認めつつ、それ以外の課題もヒアリングさせていただくと「営業強化」や「売上向上」などのニーズが見えてきます。営業DXサービスとしてSansanを打ち出したことにより、そのようなお客様にも価値を提案できるようになりました。契約にも奏功していると考えています。

 当社ではROIをマーケティングの成果指標に設定しているのですが、Sales Innovators’ NextはROIが非常に高いイベントに仕上がりました。展示会に1回出展した時と同程度のROIが出ているため、今後も月1回のペースで実施していくつもりです。

──最後に、柳生さんが今後Sansanのマーケティングでチャレンジしたいことを教えてください。

 Sansan事業の業績はおかげ様で上向きですが、現状に満足してはいられません。当社のようなSaaS企業は既存顧客のLTV向上が非常に重要な鍵となります。新規顧客開拓と同じ効率を求めてメールマーケティングや広告運用をしても成果は上がりません。今後は営業やカスタマーサクセスの組織と連携を取りつつ、有効な打ち手を探ってプロダクトの新しい価値を広めていきたいです。

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この記事の著者

渡辺 佳奈(編集部)(ワタナベ カナ)

1991年生まれ。慶應義塾大学環境情報学部を2013年に卒業後、翔泳社に新卒として入社。約5年間、Webメディアの広告営業に従事したのち退職。故郷である神戸に戻り、コーヒーショップで働く傍らライターとして活動。2021年に翔泳社へ再入社し、MarkeZine編集部に所属。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2023/03/14 10:24 https://markezine.jp/article/detail/41341

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