顧客が誰かを理解する上でファーストパーティデータは必須
廣澤:Microsoftは、ファーストパーティデータの活用についても広告主に対してサポートしていくのでしょうか。
有園:MicrosoftにはDynamics 365 Customer InsightsというCDPがあります。Microsoftは、日本のDX推進をけん引すべき立場にあります。人口減少の中でGDP(国内総生産)を上げるには、効率を高めて一人当たりのGDPをあげていく必要があります。
その観点で日本の経済成長に貢献するために、我々のようなクラウドサーバーやマーケティングソリューションなどのビジネス基盤を提供している企業が、社会的責任のもとあらゆる企業を支援していくべきだと考えています。
廣澤さんが言っていたように、まだ顧客データの蓄積・活用にかけるリソースがない企業がほとんどを占めています。その一方で一部の小売企業ではDX推進の一環で顧客データを集める動きを進めるなど、顧客データを保有し、購入者がどんな人かを理解する取り組みが動き始めています。
このファーストパーティデータ保有・活用の波に乗り遅れた企業は、厳しい環境に置かれる可能性が考えられます。

広告業界は自分のやりたいことを通せる良い業界
廣澤:最後に、MarkeZineの読者の方や、若手で広告ビジネスに関わる方に向けて一言アドバイスをお願いします。
有園:広告・マーケティング業界は個人的にはとても良い業界だと思っています。以前は長時間労働が当たり前だったところが改善されていますし、働き方の自由度も高まっています。
その中で、自分の直感を信じてやりたいことにチャレンジしてもらえればと思います。たとえば、私は1990年代前半にインターネットを知りましたが、その頃はネット業界すらありませんでした。しかし、興味を持った私はアメリカに留学をしてシリコンバレーの文化に触れました。そして「ネット広告は伸びるぞ」と思ってインターネット広告の世界に飛び込んでいったわけです。
未来のことなんか誰にも分からない。すべて直感で判断してきました。
広告・マーケティング業界は、若くても自分の意見を主張できる自由でオープンな業界なので、ぜひ直感を信じて突き進んでいただければと思います。
