視聴者の能動的なアクションを引き出すコツとは?
──今回のセッションタイトルに「企業と顧客がつながる体験」とありますが、つながりや体験をどのように創出されていますか?
酒居:イベントをゴールとしてとらえるのではなく、あくまで入り口だと考えることが大事だと思います。
山本:おっしゃる通り、1回のウェビナーやカンファレンスでいきなり商談化を目指さないという視点は重要ですね。いろいろなコンテンツや体験を経て、最終的に商談化する流れを横断的に考えて分析・設計する企業が増えている気がします。
イベントマーケティングは、お客様が「課題ベースでつながる」ことができる点がポイントです。ある課題に関してみんなで話し合って、情報収集しながら共感して熱量を感じ合う。これは、意外と他のマーケティングの手法だと難しいのではないでしょうか。
──イベントにおいては、参加者の能動的なアクションを引き出すことが重要です。お二人はどのようにアクションを引き出されていますか。
山本:ミクロの話になりますが、たとえば司会者が最初からオーディエンスに問いかけたり、質問を拾ったりしながら一体感を作ることは大切です。弊社のプラットフォームには拍手機能が付いているのですが、そういった自分で操作できることや視聴者のリアクションが見られることを意識したコミュニケーション設計が重要になると思います。
酒居:弊社ではチャットを大切にしています。オンラインセミナーは、登壇者が語る内容やスライド資料だけがコンテンツだと思いがちです。しかし視聴者にとっては、視聴者のチャットの会話も含めてコンテンツとして成り立っています。
酒居:また、チャットを活用することによって、「危機感を健全に生み出すことができる」とも考えています。自分と同じような立場、同じような悩みを抱えた方々がたくさんいることがわかるだけでも、視聴者は孤独感から解放されると思います。同じ悩みを持つ人たちが、これだけ一生懸命考えていることを知れる場がチャットなのです。
我々のイベントではありがたいことにチャットで質問やコメントをいただけることが多いので、そういった方の熱量を感じることができる意味でも、チャットは有効なのではないでしょうか。
「ビジネスイベントだから」という先入観を取り払う
──最後にメッセージをお願いいたします。
山本:私たちはプラットフォーム側なので、より良い顧客体験の創出に皆様が集中できるよう、思いを持って取り組んでいます。また、BtoCマーケティング・映画やテレビ・YouTubeなど様々な場にも体験作りのヒントがたくさんあると感じています。異なるコンテンツから気づきを得てイベントに落とし込む意識をしてみても良いかもしれません。
酒居:BtoBのイベント領域においても、より人間性に目を向けられるようになってきましたね。これまではどうしても「ビジネスイベントはこうあるべきだ」といった「べき論」で考えてしまいがちでした。しかし、それはあくまでHowの1つであって、必ずしもそうでなくていいのです。
自分が顧客に何を共有したいのか、何を感じていただきたいのかによって、伝え方や体験設計はもっと柔軟に考えていく必要があると思います。
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