決済額や利用頻度でヒートマップを表示
Custella Mapsは、Webブラウザで使用可能なSaaS型のサービスだ。ログインすると、商圏を表示するマップのほか、ダッシュボードやサポートメニューなどが閲覧可能となる。地図のインターフェース上に自社および他社の店舗をマッピングすれば、任意のエリアにおける自社のシェアを確認できる仕様だ。「徒歩●分以内の商圏」「車で●分以内の商圏」などの粒度でエリア指定も行える。
「任意のエリアにおける消費のうち、自店舗の占めるシェアが赤と青のヒートマップで表示されます。データは36ヵ月前まで遡ることができ、ヒートマップの指数は『決済額』だけでなく『利用頻度』などでも設定可能です。また、消費者の勤務地を商圏に設定して消費ボリュームなどを分析できるようにもなっています」(登坂氏)
消費者の抽出条件も多様だ。性別、年代、家族構成、年収など、かなり細かく設定してヒートマップに表示するという。マップをクリックすると、町・丁目の単位による分析も実行可能に。店舗の売上データや売上の推移は、最大36ヵ月まで遡って表示できる。
「Custella Mapsでは、当該エリアにおける消費の傾向と、自社を利用している消費者の傾向を2軸で比較できます。たとえば、当該商圏内における内食(テイクアウトしたものを家で食べる)比率と外食比率を比べ『自社客はどちらに支出する傾向が強いか』といった分析をすることが可能です」(登坂氏)
市場推計など新機能の実装も進む
また、出店予定地の商圏範囲を設定し、実際の消費データをプロットした上で、他の店舗とのカニバリゼーションが生じないエリアを探す際にもCustella Mapsは有効だという。エリア内の競合数をワンクリックで把握できるため、出店前調査の工数を削減できるメリットも登坂氏は強調する。
2022年11月にリリースされたばかりのCustella Mapsだが、同社では既に様々な新機能の追加を予定しているという。その一つが「市場推計機能」だ。決済データのバイアスを除去するとともに、業種別の推定市場規模を可視化することで、実務により役立てやすいサービスへの飛躍を図る。
また「Custella Promotionとの連携も実施予定」と登坂氏。既存店分析をした後、そのままそのエリアに対して販促が打てるような機能を実装する考えだ。さらにAPI 連携の機能も付与することで、より高度な分析環境の提供を目指すという。なお、市場推計機能の追加およびCustella Promotionとの連携は、2023年度内の実施を予定している。
登坂氏は次のようなコメントでセッションを締めくくる。
「キャッシュレスデータを検索データやGPS、SNSデータなどと連携することによって、より付加価値のある消費行動データを得られるようにしていきたいと考えています。さらに、AI などの新技術をデータと掛け合わせることで新たな価値を創出し、企業のマーケティング課題をより強力に支援していきたいです」(登坂氏)