広告・マーケティングの文脈だけでなくなってきた、LINE活用
MarkeZine編集部:はじめに佐藤さんと福田さんが所属されている、LINEのビジネスデザイン室について教えて下さい。
佐藤:ビジネスデザイン室は、法人を対象にした新規事業開発を担当しています。ここにはSDGs、ESGにおける取り組みなど準公共的なプロジェクトも含まれますし、小売業界のDX支援や移動体験を変えるMaaSのプロジェクトなどもあります。広くは「新たな領域でLINE活用のムーブメントを作っていくこと」を目指しており、産業ごとなど社会を縦で捉えることもあれば、今日お話しするようなSDGsやESGなど横の軸で捉えることもあります。
MarkeZine:SDGsという言葉を見聞きする機会は広告業界でも多々ありますが、最近はさらに「カーボンニュートラルに向けて広告業界でできること」など、よりクリアな焦点で議論が交わされるようになってきました。こうした中で、LINEは自社の役割をどのように捉えていますか?
佐藤:たしかに、これまでもSDGs、サステナブル、ESGといった単語は社内でも飛び交っていましたが、どちらかというとCSR的な見方になっていました。肌感では、環境問題に対する自社の存在意義、会社としての責任という形でより明確に議論されるようになったのは、この1~2年だと思っています。
その中で、LINE社として我々が果たすべき役割には、大きく2つの側面があります。まず1つは、2025年度までに温室効果ガス排出量を実質ゼロにすることを掲げた「2025カーボンニュートラル宣言」など、いち事業者として達成すべきところ。もう1つは、コミュニケーションプラットフォームとして果たすべき役割です。
後者については、LINEが有するメディア機能とコミュニケーションプラットフォームとしての強みを掛け合わせることが求められます。現在、LINEのMAUは約9,400万(2022年12月時点)です。皆さんが普段から目にしている・耳にしているプラットフォームであり、旧来のメディアと横並びと言うとおこがましいですが、メディアコンテンツや広告という手段を通して、情報提供や課題提起をする役割を担っていると考えています。また、多くの生活者が普段から利用しているプラットフォームとして、企業の取り組みの支援をする場面も今後さらに増えてくるだろうと思っています。
福田:これまで企業によるLINE活用といえば、CXや利便性の向上といった観点で語られることがほぼでしたが、最近はLINEを活用することで「どれだけプラスチックゴミの削減に繋がったか」「どのくらいカーボンニュートラルの削減を実現できたか」といった観点で語られることも増えてきました。そんな良い変化もあるのか、とこちらが気づかされるシーンも多々あり、勉強させてもらっている状況です。広告・マーケティング領域でのLINE活用においても、流れが変わってきていることを感じています。