LINEを活用したシェアリングサービス「Re&Go」
MarkeZine:具体的には、LINEを活用してどのような取り組みが行われているのでしょうか?
福田:たとえば、LINE公式アカウントを活用したサービスとして「Re&Go」があります。これは、飲み物などのテイクアウト容器を「Re&Go」に参加する飲食店などで回収し、洗浄して再利用することで容器ゴミを削減するというサービスで、NISSHA様とNECソリューションイノベータ様が共同で運営されているものです。現在、スターバックスやローソンなど約37店舗で導入されています(2022年10月時点)。

ユーザーは、「Re&Go」のLINE公式アカウントを友だち追加すると、トーク画面のリッチメニューからテイクアウト容器を借りることができます。容器の返却もLINEから「Re&Go」対応の店舗を探し、店舗QRコードをLINEで読み込むだけで完了します。さらに、LINEのトーク画面に「みんなの環境貢献度」というメニューがあり、これをタップすると、自分がRe&Goのサービスを利用することでどのくらいCO2削減に貢献できたのか、またサービス全体でどれだけのCO2削減を実現できているかを知ることができます。みんなで1つの目標に取り組んでいくというユーザー参加型の取り組みは、すでに多くの人が利用しているLINEだからこそやりやすいとも言えるでしょう。
年間1.5トンのプラゴミ削減に!DEAN&DELUCAのデジタル会員証
福田:もう1つ、DEAN & DELUCA様は、公式アプリのほか、2022年3月からLINEミニアプリを活用してデジタル会員証を発行されています。プラスチック製のメンバーズカードからデジタル会員証への移行を進めることで年間1.5トン(※1)のプラスチックゴミの削減を見込まれているそうで、これは会社としての広報活動だけでなく、対ユーザーにおいても積極的に発信されています。
なお、LINEミニアプリ全体の「デジタル会員証」はこれまでに約1,270万人のユーザーにご利用いただいております(※2)。ユーザーの利便性アップにとどまらず、環境保全の取り組みにつながる事例が今後も増えると考えています。
(※2)数値は2023年2月までの「デジタル会員証」の延べ利用者数で、プラスチックや紙カードの削減数ではありません
MarkeZine:これまで我々がLINEミニアプリの活用に関する情報を扱う時も、販促のDX/データドリブン化といった切り口がほとんどでしたが、そういった観点も出てきているのですね。
佐藤:私は、今が過渡期だと思っていて。たとえば、DEAN & DELUCA様の例で言うと、プラスチックカードがデジタルとアナログの橋渡し役になっているわけですよね。このように、現時点では多くのサービスや仕組みがデジタルとアナログのハイブリッド状態になっている。ここから先に進む時、企業側においては「環境問題へのアクション」や「さらに進化したテクノロジーの活用」などがフックになってくるでしょうが、消費者側では「財布にカードを入れたくない」など利便性を求める、いたって普通の消費者心理も働いてくると思うのです。我々のチームではヒューマンセンタードという言葉をよく使うのですが、ユーザーの体験を通して経済的に環境価値を創造していくことが、これから重要になってくるのではないでしょうか。
