TikTokで調べものをする人も
天野氏は主要なショート動画プラットフォームとして、次の四つを挙げる。

ショート動画に特化したTikTokを除き、YouTube ShortsとInstagram Reels、LINE VOOMのMAUを厳密に測ることは難しいが、天野氏によると「YouTubeとInstagram、LINE自体のMAUのうち6割前後がショート動画を使っているのではないか」とのことだ。各プラットフォームの特徴を天野氏は次のように説明する。
「TikTokはミームが生まれやすく、YouTube Shortsは男性ユーザーがやや多いこともあってアニメ・エンタメ系のコンテンツが多く見られます。Instagram Reelsは美容やアパレルなどのライフスタイル系コンテンツが多く、LINE VOOMはフードや飲食、教育、エンタメなどコンテンツの幅が広いです」(天野氏)
この中から天野氏はTikTokにフォーカスして解説する。若年層向けのイメージが強いTikTokだが、25歳以上のユーザーが約7割を占め、ユーザーの平均年齢は30代半ばだという。「発信側では若年層が目立つものの、30代以上のユーザーも多く見ている」と天野氏。TikTokは2021年にGoogleを抜いて世界で最もアクセスされたドメインに認定されており、アプリだけでなくPCのブラウザ上でも視聴されていることがわかる。
「アメリカではTikTokで調べ物をする人が増えています。たとえばエクセルの使い方を学ぶために検索エンジンではなくTikTokを立ち上げ、エクセルマスターのような人物が発信している解説動画を視聴するのです。伸びているのは教育系コンテンツだけではありません。たとえばシズル感のある動画や器の蓋を開いたときの衝撃を伝える動画など、食べ物系のコンテンツも増えてきました。2022年からTikTokでライブ配信を視聴するユーザーが増えており、全ジャンルを網羅しつつあります」(天野氏)
堅めの商材でもOK!ショート動画制作のポイント
Insider Intelligenceが行った調査の結果によると、2024年にはYouTubeの広告収入をTikTokが超えると予測されているそうだ。また、アプリ内購入額も代表的なソーシャルメディアの合計額を上回るなど、TikTokはショート動画の一大経済圏をつくり上げている。
ここから天野氏は、ショート動画の制作ポイントを解説する。ショート動画プラットフォームでは日々大量のコンテンツが発信されているため、“珠玉の1本”を生み出すことよりも物量作戦が効果的だという。ショート動画と相性の良いジャンルと企画フォーマットを掛け合わせて量算する体制を天野氏は推奨する。

「TikTok起点でヒット商品が誕生する“TikTok売れ”の起こりやすいカテゴリはアプリ/ゲームや飲料/食用品、スキンケア用品ですが、最近は不動産や金融商品など堅めのカテゴリでもTikTokをきっかけに購買が発生しています」(天野氏)