ネタ選定の基準は検索ボリューム<読者メリット
やること/やらないことを明確にする際もインバウンドの思想に立ち戻り「読者に価値を感じてもらえるか」という視点でアクションを決めていきました。ただし、人的リソースは限られています。そのため「その施策は長期的に読者に価値を提供できるのか」「体制として持続可能であるか」の2点も判断基準として盛り込みました。

オウンドメディアは情報が集まるプラットフォームです。読者が何かわからないことがあった時に役立つだけでなく、読者が後々「あのメディアにこんなことが書いてあったな」と思い出した時に帰って来られる場所であることや、時流に合った情報と常に出会える場所であり続けることが、メディア運営において重要なポイントではないでしょうか。
このような思考のもと、HubSpotでは次のような整理を行いました。
たとえば、HubSpotの専門領域であるCRMやMA、SFAといった本丸のトピックと、そこに付随するGoogle広告やInstagramなどの具体的なトピックのアップデートです。自社でプロダクトを開発し、ユーザーとの対話を常日頃行っているからこそ得られる情報が、読者の知りたいニーズに応えられるからです。
これらのトピックの中には、そもそもの検索ボリュームが少ないため、ブログ全体のトラフィック回復にはそれほど影響しないものも多くありましたが、長期的な読者のメリット・価値の提供という視点で選定しています。
提供価値が不明瞭な施策はやらない
やることとあわせて、やらないことも決めました。
たとえば、記事に動画を挿入すること。動画は非常に魅力的なコンテンツですが、新しい表現に挑戦する工数に対して、読者に提供可能な価値が不明瞭であるため、今回は注力領域から外しました。このように、トラフィックのリカバリーだけを目的とせず「読者に価値を感じていただけるかどうか」を判断基準とし、絞ったトピックに注力する方針を明確にしたのです。
前述した仮説と「やること・やらないこと」の掛け合わせで、ほかの問題点についても具体的な改善策を決定し、実践していきました。たとえば、内容は良いもののボリュームが大きく、テキストばかりが続く記事。この体裁では読者が読むのに疲れてしまうため、読みやすい箇条書きを入れ、インフォグラフィックを挿入し、視覚的な「わかりやすさ」を追求したのです。
また、私たちが想定していた以上に情報の新鮮さが重要であることに着目し、アップデートやリライトの戦略も立て直しました。