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MarkeZine Day 2025 Retail

MarkeZine Day 2022 Retail

資生堂の新会員サービス「Beauty Key」担当者が語る、リテールとともに目指す顧客のLTV向上

Beauty Keyで実現できること

 Beauty Keyを通じて一人ひとりに合わせたテーラーメイドなサービスを提供するためには、二つのことが必要であった。

 一つは、従来は店舗ごと、またECサイトなどで把握していた顧客情報を、WebサイトもアプリもOne IDでまとめて一元管理することだ。たとえば、肌分析の結果、カウンセリング履歴、お気に入りブランドからの美容情報など、One IDにすることでオフラインからオンラインまでの体験を集約できる。

Beauty Key
Beauty Key

 そしてもう一つは、リテールの従業員や美容部員らに、こうした情報の中から購買履歴やカウンセリング履歴などを共有することで、顧客一人ひとりにパーソナライズされた接客を行えるようにすることだ。また、メーカーとしてもそうしたデータの蓄積から、マーケティングや商品開発の精度を上げることができるようになる。

 Beauty Keyのアプリが提供しているサービスの中で、最も顧客に利用されているのは、肌分析だ。簡単な問診の後にスマホカメラで自身の肌の写真を撮るだけで、潤いや透明度、張りといった肌の状態を簡単に知ることができる。そしてその結果に基づいた、パーソナルなアドバイスも提供している。

肌分析機能
肌分析機能

 他にも日本初の3D顔分析機能を搭載したメイクアップツールを提供。スマホで自身の顔を読み込むだけで顔の形状を3Dで測定し、そこから全24タイプある診断結果の中から最適なものが提示される。このメイクアップの監修は資生堂のメイクアップアーティストが行い、店頭へ行かずとも自宅で気軽に自身にピッタリのメイクのハウツーを知ることができる。

 また、Beauty Keyを利用する動機づけとして、顧客へのリワードも再設計している。

 「これまでも化粧品を購入したことに対してのリワードは用意していましたが、購買以外の行動や習慣もリワードにするようにし、お客様の利用体験の継続サポートや、可能性が広がる楽しみをリワードとして還元しています。たとえば同じ店舗で2度3度と継続して購入していただくと、さらにポイントが加算されるといったように。これにより、リテールの方々がお客様に長期愛用されることにもつながるという設計にしています」(大槻氏)

顧客やリテールの声を還元

 Beauty Keyの開発にあたっては、顧客に何回もユーザーインタビューを行い、リテール、リテールと接する資生堂の営業担当、店頭の美容部員など多くの人の声を聞き、本当に必要なことは何かを追求していった。

 たとえば顧客からは、「いろいろなところにいろいろな情報があり、何が自分に合っているのかわからない」、リテールからは「デジタルって、うちのお店は何をすればよいか」「どのような提案をすればお客様にもっと喜んでもらえるか」といった声が上がった。

顧客から上がってきた声の一例
顧客から上がってきた声の一例

 「いつの時代もお客様が求めているのは、本当に自身に合っているものを見つけたいという思いです。また、リテールの方々や美容部員も、お客様に本当に合ったものを提供し、長くお付き合いしていきたいという思いを持たれています。そのためには、お客様一人ひとりの気持ちを理解し、年齢やライフスタイルによる変化にも対応し、最適な化粧品や使い方を提案できる仕組みを作ることが大事だと考えています」(山﨑氏)

資生堂インタラクティブビューティー株式会社 DX本部 デジタル戦略部 戦略企画グループ 山﨑 明香氏
資生堂インタラクティブビューティー株式会社 DX本部 デジタル戦略部 戦略企画グループ 山﨑 明香氏

 また山﨑氏によれば、資生堂は150年の歴史の中でリテールや美容部員が培ってきた提案力がすでにあるという。この提案力を活かしながら、Beauty Keyに蓄積されたデータと分析をかけ合わせることで、より深い顧客理解と最適なサービス並びにオンリーワンの体験を提供する狙いがあるのだ。

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この記事の著者

平田 順子(ヒラタ ジュンコ)

フリーランスのライター・編集者。大学生時代より雑誌連載をスタートし、音楽誌やカルチャー誌などで執筆。2000年に書籍『ナゴムの話』(太田出版刊)を上梓。音楽誌『FLOOR net』編集部勤務ののちWeb制作を学び、2005年よりWebデザイン・マーケティング誌『Web Designing』の編集を行う。2008年よ...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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2023/04/24 08:00 https://markezine.jp/article/detail/41917

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