Lead、Trendスコアで見るマウントレーニアの強み
続いて、3ブランドのLeadスコアを見ると、Baseスコアと同様にボスとジョージアは「セイリエンス」が高いが、「レゾナンス」は低くなった。一方、マウントレーニアは「ジャッジメント」「レゾナンス」で高い結果が出た。
Baseスコアとの違いとして大きいのは、マウントレーニアの「1年以内購入」がボスやジョージアと同程度であり、「イメージ」「フィーリング」のスコアがやや高い部分になる。
このことから、マウントレーニアはオピニオンリーダーにおいて、品質のみならず多面的に評価されており、高い購入経験率を誇っていることが見て取れる。

出所:NBI2023(Web調査、2023/2)
次に3ブランドのTrendスコアを見ると、ボスとジョージアは近い順位で入れ替わりを見せているが、マウントレーニアはほとんどの期間で順位が最も高かった。
さらに、月別に見るとマウントレーニアは二度ほど順位が大きく上昇するタイミングが見られる。マウントレーニアの盛り上がりのタイミングは新商品発売やキャンペーン等のタイミングであり、話題作りに成功しているといえる。このようなオピニオンリーダーにおける評価の高さや直近の盛り上がりによって、マウントレーニアはNBIスコアでボス、ジョージアを上回る結果となっている。

図7.ボス、ジョージア、マウントレーニアのTrendスコア
出所:NBI2023(Web調査、2023/2)
NBIで紐解く、ブランド力向上のために必要なコミュニケーションとは?
最後にNBIスコアを伸ばす(=ブランド力を高める)上で意識すべきポイントについて、マウントレーニアを例にして解説する。
これまで分析してきた通り、マウントレーニアは、品質の高さが消費者から評価されていることによって継続ユーザーを生んでおり、比較的セブンカフェのポジショニングに近いという特徴がある。だが、まったく同一の方向性でブランディングを進めると、価格や商品の手に入りやすさの観点において、セブンカフェに軍配が上がる。
そこで着目すべきは「イメージ」「フィーリング」の要素だ。現状ではマウントレーニアのこれらの評価はそれほど高くはないが、LeadスコアとBaseスコアには差が見られる。つまり、オピニオンリーダーはこれらの項目も評価しており、この先生活者全体での評価も上がっていく可能性が考えられる。雪印コーヒーが持つ、長年の歴史に紐づく「親しみ」とは異なる形で、消費者に寄り添う「親しみ」や「愛着」のコミュニケーションを取れれば、さらなるブランド力向上が見込める。
その点で、現在マウントレーニアが取り組んでいる「やさしさ、安心」のコミュニケーションは、まさにこの方向性であるため、今後の各スコアの動きに着目していきたい。
このようにNBIは、「トップブランドの特徴を基に差別化要素を浮き彫りにする」「変動が大きいブランドの特徴に着目する」など様々な観点でブランド力向上のための分析が可能だ。第3回では、また別の商品カテゴリーをピックアップして、その特徴を解説していく。